山道を進む静けさと、掘り返されていく過去の情景が丁寧に重なっていく一編でした。語られる思い出はどれも柔らかいのに、掘り当てたものが揺らぎを与え、読後に余韻とざわめきを残します。誰かの心に眠る「帰れない場所」が、物語の中でそっと姿を見せる瞬間が印象的でした。
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