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沙愛子が生まれた雲の上。
サンタの世界であるそこは生まれた者全員がサンタになることが決まっている。
その殆どが子どもにプレゼントを届ける、雲の下でよく知られているサンタへと就職する。
何故、殆どなのか。
ごく一部、全体にして二割に満たない者は別のサンタに就職するからだ。
その中でも重宝され、重要だとされているサンタ。
それが人を幸せにするサンタ。
プレゼントを貰えなくなった年代・・・大人の願いを叶え幸せにするサンタ。
どういう基準でそのサンタに選ばれるのかは不明だが、幼少期に素質が認められると専属のトナカイが目の前に現れるという。
トナカイとはなにものなのだろうか。
雲の下で語られるトナカイはソリを牽き、サンタとプレゼントを運ぶ生き物のことだろう。
しかし、人々が深夜でも活動するようになり、SNSや騒音問題が多い時代、そのようなことをすればサンタの存在がばれてしまう。
それに加えて夜中に職務質問をされないように静かに安全に配達することが義務づけられ、枕元にプレゼントを置くことも不法侵入であるとガイドラインに記載されたことにより、窓にソリをつけるということも出来なくなった。
防犯カメラも普及し、姿が映ることも考慮し最近では玄関先や宅配ボックスに置くようになった。
そのため、目立つ上に雲の下を騒がせるに違いない生き物のトナカイとソリは姿を消し、代わりにバイクや車が普及した。
つまり、雲の上でのトナカイとは生き物ではなく乗り物のことなのだ。
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