第2話
「カシャカシャカシャカシャ...うっ」
朝から歯を磨くのはやはり気持ちがいい。けど、歯磨き粉を未だに飲み込んでしまいそうになる。なんでみんなはそんなことにならないのだろう。いや隠しているのかもしれない。誰だって隠したいことが出てきてしまう世だから。ハッ。
〈プルルルル〉
「はいっどうした?」
-今、9時何だが-
「いや、ちょっと昨日ゲームが楽しすぎて」
-縁切るぞゴラァーーーw!!早く支度して出てこぉーい!!-
「はい。。。了解!」
最近はゲームが大好きになった。とても面白いし何もかも忘れられる。夜は確実にゲームをしている。この世界は普通に生きていたら相当楽しいのだろうか?いや、どう生きていても辛い事と楽しいことがある。だって、楽しいほど辛くて、辛いほど、楽しくて、何もないほど辛く楽しく感じやすいのだから。いつだって誰だって望んでいるかもしれない。そうだ、僕も皆も、、いや、命の危機何て本気で感じているだろうか。未来の不安、叫びたいほどの屈辱、階段から落ちそうになる。いや、死ぬ理由にはなる。ただ死ぬ事にはならない。僕は前も今もきっと..。前世、来世、現世、今世。いや、きっと今の世が前なだけで最後の世はきっと輝く。いやそう信じていた前世は最後どうだっただろうか?
ひたすらに変な自問自答を繰り返しながら走り、休憩に電車に乗り、走り、ビルに着いた。京都から東京まで20分足らずで来てしまった。
「ごめんなさい、遅れました」
一階のフロアにいつもテレビで見るWASEが座っている。そして、その横には人麻呂。
「大丈夫ですよ」
WASE・・やっぱり背が低い。それに思ったより小顔だ。あいつがいつも話す時に照れながらも熱意を込め流暢に話す理由もわかる気がする。=かわいいということだ。
「あっ赤松と申します、百足の件ですが、あのまずお話お伺いしていいですか?」
「...」
ちらっと人麻呂の方を見てこちらに話し始めた。
「..昨日も見たんです。百足の姿。いつも目を離せばいなくなるし、私以外誰も見えない。けど、毎日毎日触れるほどすぐそばにいつの間にか現れ消える。それはもう生き物というり見せられている景色」
「それっ、ストーカーのせいですね」
「すっストーカー!?」
WASEは何も表情を変えなかったが、人麻呂がとにかく驚いている。何だ彼氏面して..。
「そう、ストーカーです。見えませんか?ほら」
ビルの外に指を指しまくる。まるで当てずっぽうみたいにね。
「一体なら、大きすぎませんか?」
「はい、そういう人のために陰陽師は模索してきました。心統一-しんとういつ」
きっと今彼女たちが見え始めた景色はこうだろう。ビルが大きな百足に覆われている。まぁ大百足..ですからね。
「マジックじゃありませんよ。マジックだったら本当の魔法だ。これは妖術です」
「どう違うんだよ、でっあれ祓えんの....?封印?とかするの?」
「いやぶっ倒すよ。霊は厄祓って、妖はもう生き物だから殺すってことだね」
「だっだっだっ大丈夫なの?」
「WASEさん、もう確実なんですけど山最近登りましたね?」
「えぇ..あっ!!確かに、最近ビルばかり見ているので気分転換に百足山とか...いう..」
「はい、三上山の大百足。とんでもない怪物なんですよ。それを連れてきちゃったみたいですね」
「...じゃあ私が」
「まぁ大丈夫ですよ。勝手についてきただけなんでね。人麻呂いちよ、WASEさん守っていて、引き続き」
「守るってどうするんだよ!」
「頑張ってね笑、、じゃあ“朧舞”、、」
これで誰も僕を見えない。人麻呂君にはね..。
【ガガガガギギギギ】
「おっと..気付かれたようだ。ビルを壊されたくない、速く出よう」
一気にロビーを突き抜け、外に出る。
「妖翼展開」
身体から翼が生えてくる。
「腕烈火-かいなれっか..来いよ、大百足」
腕烈火-腕の筋力増大、そして、清明が術を消すまで燃え滾る炎を両腕に燃やす。
ゾロリとビルの上から巨大な頭-かしらが道路に落ちてくる。
来やがった。あいつは妖怪でもちょっと実態ある怨霊系、完全な実態ないから狙った相手にしか攻撃が通らないし、衝撃もない、羨ましいぜ。俺は認識されないだけで存在はあるからビルには当たるし看板にも当たる!。
【ドォーン】
攻撃を避け、さらに上に飛び立つ。ビルの屋上らへんまで飛び、下を見つめる。
この感覚強力な幻覚だ、攻撃を避けきれなかったか。幻覚のせいで全く何処に大百足がいるかわからなくなった。後ろから轟音。どうする、避けても一向に攻撃が出来ない、、なら。
突撃をくらう。
その硬そうな頭を腕烈火の腕で叩き割る。
≪ドォーーーン≫
後ろに引いているというのにとてつもない衝撃だ。それにこいつ、腕烈火の炎で体全体が燃えているのにまるできいてない。皮膚が固いんだ、殴っても殴っても、、、こちらをなぜずっとジっと見ているのだ?んっ口元に毒が出てきてる。こいつ毒を光線のように飛ばす気だ。後ろに飛び立つか..
百足から引いた時だった。飛ばされた毒が目を刺そうとした。とても早い毒の針だ。
「妖刀:真刀丸 炎天」
炎天-回転により炎を燃やしていき、大技に出来るただの技。
毒を火で相殺したが、回りすぎて空中感覚が..。ぐわんぐわんと空気が耳の目の前で舞う。体制を立て直したがやはり隙がデカすぎた。いつの間にか百足の身体で出来た部屋の中。だんだんと毒ガスが入り、弱らせて喰う魂胆だろう。
「剣技:鴉眼突き」
ダメか、穴が空いても百足の新しい肉の壁がさらに積み重なり穴が消えるだけだ。
なら、一発に駆けるしかない。
「ここまでェ来たらァーあどぉは死ぬのみィ...俺にてェ出したの運のぉ尽きィィィ」
それは..こっちのセリフ・。
「狂乱っ気..」
力を一時的に上げる。そして、
「剣技:狂い花..」
斬撃を刀にまとわせ次の剣技の技に斬撃のを乗せることもできるし、普通飛ばせる。
最低限の動作で構え、切り口を見定め上に決める。
剣技:凁昿の旹(ソウコウのトキ)
外側から炎であぶり、内側から凍らし、そして、外側と内側を斬撃で繋ぐ。
上から下へと振り下ろし、部屋を真っ二つに切り落とす。
〈シュパッ〉
部屋が崩壊する。だんだんと景色が見えていき、下に百足が落ちていく。百足の身体は火傷と凍傷に蝕まれボロボロに、地面に当たる衝撃で破片がそこら中に飛び散った。
「まだァーー」
こちらに体を起こし上へと大きく口を開け迫りくるが、身体を上げるほどボロボロと下に落ちていく肉片。もちろん届かなかった。
「ま..ァ」
〈ザンッ〉
下から登ってきた百足の頭を綺麗に切断する。
「心から腐れば俺もちゃんと生きれるだろうか、、、否、楽しくないか..」
【ドォーン】
ドロドロと溶けて土の中に墜ちていく。大丈夫、もう上がってこない一度吸い込まれれば地獄だ。
「はぁ..」
【バーン】百足の腹から爆発のような音。
うっ...マジかよォ、腹に卵か..。
ビルを駆けあがり、襲い掛かる百足たち。
後ろに大きく体を逸らし、いきよいよく下降、地面スレスレで体の向きを変え上に飛ぶ。
ビルの上から微小の百足の雨が降り注ぐ。指先の刀を構え、ゆっくりと右足の足元の空気を圧縮し、地面と化す。大きく踏み込み、三回妖刀を振る。
「形雷-けいらい」
雷のような太刀筋が雨を切り裂く。翼が消えかかり静かに地面へと足を置く。
数分後-
「それでは、私は」
「ありがとうございます」
「うん、あちがとぉー!赤松!」
人麻呂、君はとても心がきれいなのを君は知らない。そして、君の横にずっと事故で死んだ妹がいるのを知らない。そして、その妹が君という闇を抱え現世に留まりいることを僕は言えない。WASEさんを百足から守ったり隠したりしてくれたのはきっと君の妹のおかげ..だと思う。感謝するのは僕じゃない、きっと。
バタリと家に入り、義母さんにただいまと言い、部屋のポッドの水を捨てお湯を沸かす。ベッドに転がり明日の事を考える。
いつの間にかお湯は沸き、カップに入れ三分待ちラーメンをすする。付いていたチキンスープが身体を癒す。
「僕にも守護霊の妹来てくれないかな~。話し相手..欲しい」
思い立ったが吉日。僕は明日ある社に行くことに決めた。独り立ちしてから数日、行くしかない、あの社に、、。一縷の望みを懸け!まずは話し相手欲しいし!
多分...いるはず。
月を見ながらスマホを点けて、ログインボーナスを貰う。
スマホを消して、掛け布団の奥に体を入れる。電気を消すと、窓から月明りがはあ行ってくる。
僕には夢がある。それは前世からのものだ。
【ずっと側で誰かを愛したい、愛されたい】
母さんでも妹でも彼女でも誰か僕に愛を教えてくれ。
妖術しか知らない僕に、痛みも闇もない世界を教えて欲しい。
そのためなら自分を削ってもいい、いや、削らなくちゃ見えてこない。
日本の陰陽師で夢を持つ限り、この国から大妖怪を治め、愛を知るしかない。
どうしようもないゴミだ。けど、その分生き甲斐がある世界だ。
けど、今世生きていてとても良かったことがある。真の悪を見定めたからだ。
間違っていた..。
「赤松君おやすみなさい」
ギーとドアが少し開き、義母さんがさりげなくそう言ってドアを閉めた。話し相手はいちよいるか。
怪-明日は吉日?
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