週一労働という選択肢

FIRE生活では、私は基本的には自分の部屋で個人作業をしている。

他者と対話する機会は、会社員時代よりも圧倒的に少なくなった。時々他者と会話する機会が訪れると、スムースに言葉が口から出てこなくて苦労する。喋っていないと、喋り方を忘れてしまいそうだ。

人が生きていくためには、他者とのコミュニケーションは欠かせない。たとえFIRE生活の中で個人で生きているといっても、どこかでは他者と交渉する必要があるし、他者に何かを依頼する必要がある。無人島で一人生きているのなら別だが、残念ながら私は無人島には生きていない。やはりこの社会を生きていくためには、一定のコミュニケーション能力は欠かせない。


そして、「他者との対話」という能力は、日頃使っていないと衰えていく能力だということ。

その代替手段として「口述日記」や「プライベートライティング」を習慣の中に組み込んでいるが、ただしそれらはあくまで自分の考えを「一人で」言語化していくというものなので、他者との対話というものとはどうしても質的に違ってくる。


それを補う方法として「週一労働」という選択肢を現在検討している。

現在の私は配当金や利金といった不労収入で生活費の全てを賄うことができているので、他にお金のために働く必要はない。なので、お金のためではなく、「社会との最低限のつながり」を維持するためだけに働く。お金を目的としないので、長時間働く必要はない。そもそも会社という場所における労働から自由になりたくてFIREに進んだので、お金を目的としないのに再び会社という枠組みの中に戻るという選択肢はありえない。働くとしても拘束時間ができるだけ短いかたちで働きたかったし、多少なりとも「私のやりたこと、得意なこと」に近い分野で働きたかった。


だけど、そもそもそのような都合良よい選択肢はこの世の中に存在するのだろうか。

「お金」という条件を徹底的に下げることによって、一つくらいは私が望む条件の働き方はあるのだろうか。


今日、とりあえず、役所のパート勤務という働き方を調べるため、いくつかの求人を調べていた。

臨時のパート勤務という形でいくつかの求人が出ており、大体一ヶ月から数ヶ月という期間の契約となっている。そして勤務は週4日か5日のものしかない。そして何よりも、拘束時間は朝8時半から16時半までといった、ほとんどフルタイムに近いものの募集しかなかった。正直そのような働き方は私は全く望んでいなかった。


一日バイトと言うかたちであれば、多少は拘束時間の短い募集もあるのだろうが、ただしそれらのほとんどは肉体労働になっている。「社会との最低限のつながり」を維持するという目的で、かつお金というものを目的としていないのに、今ここで肉体労働をするということはどうしても考えづらい。


これらの「労働」以外に「社会との最低限のつながり」を維持する手段はありえるのだろうか。

自分のやりたいことに近い形で働くことを考えると「ウェブライター」のようなものも考えたのだけど、自分が望まない記事を書くくらいなら、収入は低額でも構わないので自分が書きたいという思える記事を書きたい。そしてそのことは「日記ブログ」や「投資ブログ」で現在実現できている。今ここでウェブライターとしての活動にリソースをかけていくメリットをあまり感じない。

そうなると、今、習慣として行っている「口述日記」や「プライベートライティング」を、もう少し「自己表現」に近い形で軌道修正するという選択肢もあるかもしれない。他者との対話という機能は完全には満たせないが、自分の考えを分かりやすい言葉で発信するという事ができれば、少なくともその機能の一部を満たすことはできるのではないのか。

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