サ メ パ ン チ !

ネコサンダー

第1話 奴の名は!

──「っはぁ…はぁ…!」

私『陽日々 小春』は、偉そうな摩天楼が建ち並ぶこの夜の街の中を全力で、ひたすらに駆けていた。

理由は明白───「待てゴラァ!」「ギャアアア!!」「お姉さんかわいいね~」「ワンワン!」

このヤクザとゴブリンとナンパと犬に追われているからだ!

なぜこんなことになったのか、あれはそう今から30くらい前のことだ。

私は夕飯を作る前に切れていた材料を買うために街へと繰り出した。

そして時短の為に日頃使わない裏道を使おうとした結果、ナンパに捕まった。しかしここまでは問題じゃなかった、私はナンパを華麗に無視して通りすぎようとしたらヤクザにぶつかってしまった!ヤクザの人が「いてっ」とか言っていたが、私には反社会的勢力の奴に下げる頭を持っていなかったので無視した。

そしたら「人にぶつかっといて─」あーだのこーだの言ってヤクザに話しかけれたので普通に怖かったし走って逃げました。

反社が道理を説くなんておかしいですよね(笑)


そしたらなんとそのヤクザは懐から鉄砲を取り出して追いかけてきた!ついでにナンパも追ってきた。

そうして走り続けること30分、─現在


「はぁはぁ、くっ…!」

路地に追い込まれ、私は後ろ振り返り、睨み付けた。

「ハァハァハァど、ハァ…ゼーどんだけ…ゼー…ハァハァ…走ん…ねん…ゼーハァ…ハァ…」「ギョァアアアア!!」「お姉さんかわいいね~」「ワンワン!」

後ろのゴブリンがうるさすぎてヤクザの人がなに言ってるか分からなかった。

しかし、くっ…追い込まれた、絶体絶命のピンチだ、きっと捕まればひどい目に合わされるに違いない、近道なんてしなければよかった、もうダメだおしまいだぁ…!


──その時、

「サ メ パ ン チ !」

凄まじい雷鳴と共に目の前が光った。

周囲を囲った煙が晴れると、そこには一人の少女が立っていた。

サメっぽいフード目深に被り、ダクトテープで補修されたビックシルエットのジャケット、両手にサメのパペットを装着した、白髪の美少女。

辺り一面を吹き飛ばし、犬以外を肉塊に変えた少女がへたり込んだ私を見下ろして、口を開く──


「私の「ワン!」名前「ワンワン!」はサメパ「ワンワン!」ンチだ…!」


犬でよく聞こえなかった

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