第4話 女上司との日常

名前すら知らない女上司だったがすぐに調べた

一応知らないと失礼にもなるしなんだか必要になってきそうな予感がした


どういうわけか以後近くに来てやたらと話しかけてくるようになった

それも職場に関係のない雑談

最初の出会いがそんなだったから目も合わせず

「あー、はー、そうですか」

この言葉しかほとんど使ってなかった

だがそんな事はお構い無しに楽しそうにガンガン話しかけてくる

終始笑顔でご機嫌なようだが私は常に無表情で宙を見て他の事を考えていた

特に答えや返答を求めているわけではないのでそれでよかったようである

何より驚いたのがこのだいぶ後に言われた衝撃的な事があった

「私と合うと思う」

と考えているようだ

さすがにそれを言われた時は開いた口が塞がらなかった


最初はどうしたら話しなくなってこっちに来なくなるだろうかと考えていたが適当に聞いてるふりして笑顔でしゃべってて上司がご機嫌になるならまぁ今のところいいか、と思えてきた


だが何より近い

恋人との距離感

肩が触れ合うくらい横に来る

たまに肩をぴったりとくっつけてくる

そういう人


最初は疲れるなと思ったが他の事考えてたらいいんだと思えてきた


だがそんな人も私に何かしら感じているようで名前を呼べない

いつも「ねぇ…」から入る

ふいに声がけされるからたまに目線が合ってしまう時がある


いつもその人といる時は別の事を考えている

明日何時からピアノ開始してどこをどうやっていこか?とか

楽譜と鍵盤が目の前に常にあるような感覚


そんな人だが少しいつもと違った出来事が起きた

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