私の変な友達

MY

第1話 ループ

「時計って一周するんだよ!! すごくない!?」


 私の友達は頭がおかしい。まるで当然のことを当然じゃないかのように喋る。唐突な話に、私は思わず唖然とした。


「はあ」


 河川沿いの淵をぶらぶらと両手を広げながら歩く。私たちの下校時の日課だ。


「時計が一周するってことはさ、要するに、時も一周してるってことなのさ!」

「……」

「時間は止まらないのに不思議じゃない!? ってことはよ、要するに時って繰り返しているのさ!」



「……はあ」



 くるりくるりと回転しながら、こちらに指先を向けてくる。おかしなことをまだ続けている。


「時間も歴史も、いつだってこの世は繰り返しているのだよ、ワトソン君」

「誰がワトソンだ」


 まったくもっておかしなことだ。


「時間は流れるもんだし、繰り返すわけなくない? 歴史が繰り返すんだったらとっくにこの世は滅んでるよ」


 ちっちっちっちっ


 指を左右に振らしている。


「馬鹿だね、ワトソン君は。隕石は二回地球に落ちてるし、氷河期は何度も繰り返されている。それが歴史が繰り返されている証拠なのさ」


 また戻って、バランスを取り始めた。まったくわけのわからない友達だ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る