③-4


【タカ】ヒヨコおっせーな。俺の彼女の。

【トビ】どこまで行ってんだよ。俺の彼女。



    ムギギギ



【タカ】そろそろ腹へったろ?

【トビ】いや別に。



    やっつけてやる

    ゼッタイに

    


【タカ】遠慮なく俺の彼女のメシでも食っとけよ。

【トビ】おめぇこそ。俺の彼女のメシ食っとけよ。



    僕はゼッタイに

    こいつらを許さない



【タカ】そこらへんの棚とか冷蔵庫の中になんかあっからよ。て、なんだこりゃ。

【トビ】ろくなのがねぇ。つーか。



    ムギギギ



【タカ】うげ、餡蜜スパゲッテイに、たこ焼き宇治金時てなんだ?

【トビ】どういう悪食だあの女。



    悪口言ってるし

    むぐぐ



【タカ】そのガキにでも食わせとこーぜ。

【トビ】ホント動かねーなこのガキ。ほれ、食っとけ。



〈※ツバメの前にたこ焼き宇治金時が置かれる。ツバメは目の色を変える。〉



    あー♪



【タカ】帰ってきたら叱っときゃなきゃいけねーな。彼氏として。

【トビ】あいつには困ったもんだよ。安心しとけよ。俺が彼氏として、しっかり言っておくからよ。



    タコチーだぁ〜♪



【タカ】あいつってそういうとこあんだよ。

【トビ】ちょっと抜けてるところがあるからな。あいつ。



〈※ツバメ。心の中で歌う。〉



    ふふん、ふん♪  

    ふふふ、ふんふん♪


    氷の山をかき分けて

    僕はゆくよ〜♪



【タカ】わりぃわりぃ。俺の彼女が気が利かなくてよ。

【トビ】俺こそすまねーな。俺の彼女が気が利かなくて。


  

    タコチー、タコチー♪

    タコチッチ♪



【タカ】あ、そうだ。もうすぐ帰って来ると思うんだけど、紹介するぜ。俺の彼女。

【トビ】マジ奇遇だな。俺もお前に彼女を紹介しようと思ってたんだよ。



    アンコを食べて

    進んでゆくよ〜♪



【タカ】マジでおせーな俺のひよこ。

【トビ】俺のだけどな。



    僕のだよ



【タカ】誰だよ。偽情報とか大量に送りつけた奴。

【トビ】まじムカつくわな。



    タコチー、タコチー♪

    タコチッチ♪



【タカ】お前な。

【トビ】お前もな。



〈※ツバメは宇治金時を食べ終える。残されるのは三つのたこ焼きのみだった。〉



    ようやく出会えたね

    僕のタコチー



【タカ】なあ。

【トビ】なんだ。



    ここからが運命の選択になるよ

    ドキドキ



【タカ】そのアイスなくなってね?

【トビ】ホントだ。



    目の前には三つのたこ焼き



【タカ】いつの間に食ったんだコイツ?

【トビ】呪いの人形かよ。ちょっと目を離した隙に動き出しやがる。



    二つはお団子で

    一つはタコチー



【タカ】タコだけ残してやがる。

【トビ】好き嫌いかよ。妹と同じだな。


    

    現在、僕は二勝二敗

    運命はここで決まるんだよ

    大丈夫、君を引き当ててみせるよ

    僕のタコチー

    


【タカ】タコ見つめたまま動かねぇ。

【トビ】よっぽど嫌いなんだな。



    うん、決まった

    何を選ぶのか

    心の準備はできたよ



【タカ】給食で休み時間を全部使うタイプだな。



    じゃあ、行くよ

    


【トビ】しかたねーな。食ってやるか。



    あ、



【トビ】つめてー。て、なんだこりゃ?



    僕のタコチーが!



【トビ】タコに擬態した団子じゃねーか。

【タカ】マジか。どれ俺にも一個よこせよ。



    がががががががが、が!

    


【トビ】アイスの箱になんか書いてるぞ。

【タカ】なんて? ガチガチにカテーなこれ。俺のもただの団子だったわ。



    え、

    食べられたのは

    お団子二つ?


    

【トビ】見た目がタコの団子が二つ入ってるってよ。一つは本物のたこ焼きらしい。

【タカ】なんだよ、ハズレ付きかよ。



    むぐむぐむぐ



【トビ】てことはよ。残ってんのは。–––アレ?

【タカ】なんかタコ、消えてんだけど。



    ごくん



          

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