ふぁーすと・みっしょん〈潜入・観察〉

①-1


〈※ツバメを挟んで、柄の悪い男二人が、子守りを押し付け合っている。ツバメはお祈りを終えても、手を合わせて黙想を続けている。〉




【タカ】おめぇが面倒見ろよ。

【トビ】おめぇが見ろよ。


 

    僕が大好きなのは

    ちっちゃなダビデと巨人のおはなし

    

        

【タカ】ところでよ。このガキ。そもそも何でここにいるんだ?



    このお話はね

    ちっちゃな少年ダビデが

    おっきな巨人と戦うんだ


       

【トビ】知らね。



    自分の兄弟や

    大切な友達や

    震えている兵隊さんたちや 

    王様をいじめる

    とても悪い巨人を倒すために

    ちっちゃなダビデは

    たった一人で立ち向かうんだよ


                

【タカ】なんかコイツ。手を合わせてるけど、これ何?



    神様を信じて

    勇気をもらって

    小石一つを武器にして

    絶対に負けてやるもんかと

    心に決めて

        


【トビ】さーな。ガキは訳のわかんねーことするもんだからな。



    そうだよ

    絶対に負けないんだ

    どんなにちっちゃくても

    力が弱くても

    逃げない

            


【タカ】コイツ、マジで喋んねーな。ほとんど動かねーし。



    だって神様から貰ったのだもの

    戦うための頼りになるものを

    だから負けないんだ



【トビ】ちょっと耳、引っぱってみよーぜ。(ツバメの片耳を引っ張る)



    大切なものを守るために

    勇気だけは、––––––ね

    

        

【タカ】ダメだ。反応しねー。(もう片方の耳を引っ張っる)



    ‥‥えいっ!


    

【トビ】もっと引っ張れ

【タカ】うらうらうら。



    勇気100パーセント・オーバー

    エネルギー・チャージ完了



【トビ】動かね。

【タカ】マジかよ。暇つぶしにもなんねーじゃねーか。



    と言うことで僕は最強



【トビ】つまんね。飽きた。

【タカ】ほっとこうぜ。

【トビ】だな。


    

    コホン

    以上、聖書箇所

    サムエル記17章を覚えます

    別名、ツバメくんの勇気の章でした



〈※ツバメは二人に気づかれないように、合わせていた手をゆっくり離す〉


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る