座敷わらし、ひょっこりと囲炉裏のそばに姿を現す、懐かしい妖怪ですね。

この作品は、座敷わらしの宿命的な孤独がもたらす残酷さと、主人公とのあわいに流れる静謐な時間の如く、透明な優しさが同時に存在する、極めて美しい現代民話です。

語り口は淡々としているのに、感情の波は大きく、読後に長い余韻が残る作品でした。とりわけ、寓話性(存在の根源的な問いかけ)と情緒(心の機微)のバランスが見事だと感じます。

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