第16話
「ステータス」
(今のうちにステータスの確認か)
レベルが上がっているな。昨日と今日でレベルが3に上がっていた。一日レベルが1上昇している順調なペースだ。
(他に変化は?)
ザーッと上から順に流し見る。
(スキルレベルも上がっているな……)
レベルだけでなく、スキルレベルが上がっている。風魔法レベル2と表記されている。
「美緒!魔法のスキルレベルは?」
「……上がってる!」
新しく手に入っている魔法は、ウィンドカッターだ。
「ウィンドカッター!」
手に入れてすぐの魔法を使用する。その対象は目の前にいるスライムたちだ。
(貫通するならいいな)
貫通するなら、目の前にいるスライムを貫くことで、魔力消費を抑えることができる。横方向に刃のような魔法が放たれた。
スライムを貫通することはなかったが、命中したスライムを一撃で殺すことができる。
「!一撃」
(マジか)
(これで、レベル上げの効率が良くなるな……)
「ライトバレット」
スライムに当たると同時に軽い爆発を引き起こし、その爆発が周囲のスライムを襲う。どうやら、スキルレベルの上昇により、わずかな範囲攻撃を持つ魔法を獲得したようだ。
「あたしには何もないぞ!もう、魔法に変えていいか?」
優香は少し涙目になりながら、そんなことをぼやく。だが、新しく手に入れた魔法に熱中する悠馬と美緒の耳には聞こえていない。
目の前のスライムの討伐が終わる。
「まっすぐ行こうか」
「おう!」
水場を求めて、三人は進み出す。
スライムを倒しつつ、数十分歩き続ける。ついに川に到着するのだった。
川に魔石を投げ込み、水面がスライムでないかを確認する。
そして、手を皿のようにし、水をすくい——
ゴク、ゴク、と喉を鳴らして水を飲む。
「はー。生き返るー!」
一日水を飲まなかっただけで、こんなに調子が悪くなるとは思ってもいなかった。
「さて、水分補給が終わったことだし、次はどうする?」
「とりあえず、そこの毛皮の使い道を決めるか」
「優香の鎧か?」
「あたしのか?今のところ役に立っていないから後回しでいいぞ」
「それ以外だと、ドロップを入れる鞄かな?それなら優ちゃんの装備が優先だと思うけど……」
美緒も優香の装備に変えることに賛成のようだ。といっても加工することはできないため、予定でという話だ。
目の前の川を挟んだ向こう側には森林が広がっている。おそらく次のフィールドはあの森の中になるのだろう。目の前に川があり、森林があるのは分かった。
(ここ以外はどうなっているんだ?)
悠馬たちが来ていた方向は南だ。だが、北や東、西に向かった場合、その先に何があるのかが気になったのだった
川の中には小魚がいることから、肉以外の食料を確保することができる。
「どっちに行く?森の中?それとも川を下る?上る?」
「森の方がわかりやすいだろ……」
目の前に森があるのだから、森に行くのが自然となる。
「迷子にならないように、切り傷をつけて迷わないようにしようね」
同じ光景が連続しているはずだ。そのため、迷いやすいのが森の中だ。そのため、木に切り傷をつけることで迷子になることを防ぐ。
「あーつめたー。出てくる魔物はどんなのだと思う?」
川の中に足を入れ、リラックスをしながら話を振る。
「あー!ずるい!私も!」
美緒も靴や靴下を脱ぎ、川の中に足を入れる。
「そうだな……あり得るのは、虫系か?」
「うげー。虫は嫌い!」
美緒は虫が嫌いだ。そのため、虫とは戦うことを避けたいようだ。
「とりあえず、明日は森の探索か?この辺りに家を作れたら大きいからな」
木を切ることはできるかもしれないが、運ぶことはできない。筋力が足りないのと、人数が足りていないからだ。
「しばらくここにいるんだろ?少し素振りしてくる」
そう言いながら優香は立ち上がり、移動する。
「危なくない程度に行けよ!」
「分かってる」
来た道を少し戻り、素振りを行う。
「ん?」
少し違和感を持った優香がそんな声を上げる。音も立てずに素振りを行い、数分が経過する。
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