第3話

Rがヒトの前で泣くヒトを嫌いになったのは、そのときくらいからだったと思います。


「自分はプライドがあるからできないが、見える所で泣けてしまうのは、はらわたが沸々と煮えくり返るように羨ましい。」


これは貪欲なのか、おかしいことなのかと、たかが16歳の知識と人生観で一生懸命になりながら、自分の時間を埋めました。


ですがRは泣くことを羨んでいたわけではありません。

泣けることを“自然”だと信じられる鈍さに、安心してみたかったのです。

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