記憶の空はキャンバスの中に
火属性のおむらいす
プロローグ
親友が天使になった。
比喩ではなく、本当に。
静かな早朝、久しぶりに制服に袖を通した日の通学路の途中。地面ばかりが写る視界をふと上げたその先に、彼女は居た。歩道橋の真ん中で彼女は空を見上げていた。目にはいっぱいの青が写っている。朝日が背から真っ直ぐ伸びる白く大きな羽を照らす。セーラー服の裾がまだ暖かい風に揺れていた。その姿は息を呑むほど美しく、輝いて見えた。
思わず学生鞄を取り落とす。場違いな鈍い音が静寂を破る。覚えのある仕草で彼女がこちらを見た。黒く大きな瞳に私が写る。ひとつに結ばれた長い髪がさらりと肩から零れ落ちる。随分と長い一瞬の後、彼女はいつも通りの笑い方で、ふっと微笑んだ。
それがすべての始まりだった。
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