第45夜
「おい、陽斗!」
「っ……!」
思わず悪魔ならではの思考に囚われそうになっていた陽斗は、白羽の呼び掛けにハッとする
今、何を考えてた?
「お前は……本当に悪魔、なのか……?」
「…………」
今の信頼関係を維持したかった……
親友としての立場を失いたくなかった……
今まで通り白羽と繋がっていたかった……
だから悪魔であると認める訳にはいかない
嘘の上塗りをするべきだ……
「俺は悪魔じゃない……人間だ。アイツの言う事なんか真に受けるなよ」
その場凌ぎで、ぎこちなく笑った
けれど、まともに視線を合わせられず瞬きの回数が多くなる
少なからず陽斗は、内心動揺をしていた
「お前、気付いてるか?嘘をつく時に瞬きの回数が多くなるって事……」
「っ……気のせいじゃないか?瞬きは誰だってするだろ?」
ショックだった
正体を偽っていた事ではない
正体が何であれ、本人の口から真実を聞きたかっただけ。
なのに更に偽りの言葉……
信用されてない。
信頼されてない。
例え陽斗が人間以外の何者だったとしても、簡単に切り捨てるつもりはない
ましてや命を救ってくれた彼を責める気もない
正直、驚きも戸惑いもした
けれど親友をやめるつもりもないのに……
陽斗は一瞬でも、白羽との絆を疑ったのだ
「もういい……」
だが、その事を荒立てる気力もない
ただ虚しくなる……
親友というのは、年数ではなく絆の深さだと思っていた
「し、白羽……っ!」
全てを諦めてしまった白羽の様子に、陽斗は顔色を変える。
言葉の選択を誤った事に気付いた……
「外に出て来る……」
「1人じゃ危険だ!」
「お前は知ってたんだな、影との事……」
苦笑する白羽に、ズキリと胸が痛む……
傷つけた。傷つけてしまった。信頼を裏切ってしまった。
「白羽……俺は…っ!」
「悪い。俺を、しばらく1人にさせてくれ……」
「白羽!」
呼び止めようとする陽斗を一瞥すると、そのままマンションから逃げるように抜け出した
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