第34夜

人間の魂を喰らうには、人間に紛れ込んだ方が都合が良かった




そんな中で学んだのは、人間の大半は身勝手で利己的噂に流されやすく、無駄に群れたがる。


それでいて簡単に他人を裏切るという事


人は人を愛する

愛するが故に憎悪し、憎悪の果てには殺意


人の欲は尽きない。

一度手に入れてしまえば、満足が出来なくなる。

これほどまでに、罪深く醜い生き物はいないだろう


所詮は悪魔にとって人間は糧でしかない

死ねば、その魂を喰らってやるだけ。

人間も自ら喰らう家畜に情を向ける者はいない


それと同等だ

そんな人間に情を向けた事は一度も無かった

1人の人間に出会うまでは……






初めて人間の涙する表情に心を奪われた……

美しく穢れのない涙。


その美しい涙の原因が自分である事に、ゾクリと官能を刺激されたのを覚えている。


知りたいと思った

守りたいと思った

傍にいたいと思った


悪魔が何をトチ狂った事を言っているのだと相棒に、蔑まれる事だろう

それでも構わない……


孤独な1人の人間の傍にいられるなら。

そして『俺』は悪魔には最大の『禁忌』を犯した







人間の死ぬべき運命をねじ曲げたのだ……


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