小春日和に出逢った可愛い子。

夢美瑠瑠

第1話


  「朝練」とか「リハビリ」とか称して、近郊の商業地まで、毎朝バスに乗って出掛けて、殊更に歩き回って、鍛錬やらいろいろ耳目に見聞を蓄積刺激するという…否応なしにそういう習慣を余儀なくされて、非常に不便だが、メリットもなくはない…そういう生活の持続が、彼是1年近くになっています。


 闇雲に、「経験値」を稼ぐ…そういうコンセプト、行動目標であり、「当たって砕けろ」そういうヤケッパチな、方針で場当たり的に、人生の時、残り少ない時日を少しでも豊穣に彩ろうとしているのです…


 で、まあ、やはり日々に実にいろんなことがあって、…


 今日は、昨日は、かなりに冒険を試みてみた。


 朝、電車に乗るべくホームに向かうところで、ベンチに座っていた髪の長い若い娘さんが、サッと立ち上がってオレのうしろを「ついてくる」ような感じになり…車中でもなんだか不即不離に傍らに立っていてくれる。


 気になって観察していると、非常に可愛らしい。 肌はピチピチ。


 「可愛いですね」とか、声をかけようかとも思いましたが、その時は勇気が出なかった。


 で、いろいろ用足しをして、帰りの電車に乗ろうとすると、その娘がまた待合室のボックスで「オレを待って」いる…

 そういう風にどうも思ってしまうシチュエーションになった。 気がした。


 オレは障碍者で、喋り方がどうもぎこちないようなところがあり…

 で、躊躇したのだが、おそるおそる「朝もいたよね! もう帰るの?」と、軽薄に声をかけてみた。


 女の子は、「うん。」と、微笑んで、そうして目にもとまらぬ?という感じにずっとスマホの画面を指でたたいているのです。


 <続く>

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