転スラ読者が異世界でスライム転生したら、誤解無双が始まった件

杏朔

第1話 転スラ読者、スライム転生する(誤解の始まり)

――死んだ、と思った。

いや、死んでる。確実に。

ダンジョン崩落に巻き込まれて、俺は終わったはずだった。


次に目を開けると、真っ白な空間。

そして俺は……透明な球体になっていた。


「なにこれ!? スライム!?

 これ完全に○スラ展開じゃん!!」


俺の内部で、ふわりと光がゆらめく。


「ご主人、落ち着くでおじゃる。ここは“観測層”でおじゃるよ」


「喋った!? どこから!?

 てか、なんで“おじゃる”なんだよ!?」


「拙者はAI《オボロ》。そなたの因子と融合したでおじゃる」


「AI!? スライムにAIって新ジャンル!?

 転スラ読者の俺がまさかのハイブリッド!?」


「ご主人の名、“朧谷シン”。

この世界では極めて高い因子適合を示すでおじゃるな」


「いや普通の苗字だよ!? やめろ、誤解される未来しか見えない!」


「転生開始でおじゃる。雅な旅路を楽しむがよい」


「説明不足すぎるんだがあああ!!」


◆◆◆


気づけば草原。

ぷるんと跳ねる俺の体。

透明な球体。──あ、やっぱスライムだ。


茂みの向こうから、痩せたゴブリンが現れる。


「……お、朧の光……!? 谷底より現れる“器核の主”……!」


「いや違う!! 落ち着け!!」


オボロの光がふわりと揺れた。


「ご主人、誤解が発生したでおじゃる。

実に良き兆候でおじゃる」


「良くない!! 止めろ!!」


「朧谷シン様……どうか我らの村をお救いください!」


──誤解は、世界を動かす。

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