第8話
ぱんぱかぱーん!今日もまたリーゼ家家族会議です。
今回は俺じゃないからな!昨日買ったミスリルシルクについてだよ!
それにしても仲良いなぁウチの家族。
「というわけでして、デリック兄様の情報通り、王都では大店とはいかないまでも少々大き目の防具屋にあったのを買い取りました。この商品が持ち込まれたのは、もう半年も前のことらしく足取りを追うのは難しいかと」
「すごいんだよ!ちょっと魔力吸われるけどナイフじゃ切れないし、さすがに身体強化使わないと痛いから無理だけど、ナイフを掴んで折れたからね!」
「ちなみにアディ、一つ確認なんだけど折ったのはナイフの腹の方からだよね?」
「ううん、刃の方からだよ?腹の方からなら身体強化使わなくてもいける気がするんだ~。危ないからやらないけど」
「はぁ、ホントに止めなさいね」
少し興奮して話した私に、父様が確認してすでに何かを諦めたようなため息を漏らす。
「調査は難しいが、ちょっと関連があるかもしれないとすれば、アディが入学する年にエルフの留学生が多めに入学するようだ」
「何人ぐらいじゃ?」
「おそらく魔法学院に三人、学術学院に三人、騎士学校に二人」
「多いの。例年は一人、二人のはずじゃ」
「そうなると私はその頃は飛び級で研究科だし、デリック兄様も騎士団入り、リーゼ家と絡みがあるのはアディだけになりますね」
「まぁ言い方は悪いが、かの国との予防線としての人質代わりじゃろ」
あー大事な国民の留学と異文化交流、それに伴う費用とか金や物も落とすんだから、協力お願いね的なヤツか。最近特に仲良いですよアピールとか。
まったく文化交流ってスバラシイね!
でも俺自身はエルフさんにめっちゃ興味あるんで大歓迎かな?仲良くなったら耳とか触らせて貰えるのだろうか。ドキドキ。
俺は結構箱入り娘状態なので、外に出る機会がそんなにないし、エルフさんも見たことないんだよねー。
「じゃあ私が仲良くなって、聞き出すでいいですか?」
「ん、ああ、無理してやらなくてもいいぞ。そんな大した問題ってわけでもないし、逆に何かやらかすと国際問題に発展するからな」
父様ひどい。
「いえ、無理じゃないです。というかエルフさん興味あります!」
「アリス、どう思う?」
「んー、まぁいいんじゃないかしら?エルフのお友達って素敵よね。またあの国には行ってみたいし」
さすが母様、自分の欲望に素直!
「あー、うん。じゃその方向で」
あ、父様の心が折れた。
「それで、このミスリルシルクの使い道はどうしようかしら?」
母様がさらに畳みかける!
「はいはーい。肌着と手袋とスパッツが欲しいでーす!」
「あらあら、全くこの子は」
やっべ、父様に助け舟出したつもりが藪蛇だったか?
「女の子が大声で肌着とか言わないの。あとスパッツって何かしら?」
「ごめんなさい。スパッツは肌にぴったりとした薄手の半ズボンみたいな物で、下着の上に着るものです。丈は膝上からが一般的ですが長さの決まりは特にありません。あっ厚手のタイツの短いのって言った方が分かりやすいかも?」
「スパッツについては分かったわ。でもなんで必要なのかしら?」
「学院の制服って基本スカートですよね?私はドロワーズを
もう淑女で少女の俺の精神は限界なんだ。頼む母様、察してくれ!
「そうね、防刃性能もあれば何かあったときに生存確率は上がるものね。それに私もそろそろドロワーズの時代には終わりを感じ始めていたもの」
母様は何か新しい商売をお考えらしい。さすがたくましい。愛してる!
結局俺の要望は全面的に通って、必要数作ってくれることになった。布の量も結構あったので、あとはケアリー兄様にも手袋とか皆の肌着とか、母様主導で通常の布も含めていろいろと試作品が作られることになった。
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