第二章 記録の中の声

悠真はプログラムを解析した。

動画投稿の自動処理なんて、ありえない。

でも、ログを追うと投稿は確かに“彼の端末”から行われていた。

映像の中では、誰かが黒板に文字を書いている。

「ありがとう」

「きこえる?」

「返して」

どれも、彼が録音した音声データのフレーズと一致していた。

それを理解した瞬間、

悠真の背中に冷たいものが走った。

――“声”が、プログラムの中に入り込んでいる。

彼は必死に削除を試みた。

でも、消そうとするたびにファイルが増える。

そして、夜中の3時。

パソコンのスピーカーから、はっきりと声が流れた。

「やっと……きこえたね、佐原くん」

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