第二章 誰かのノート

掃除が終わったあと、

職員室に鍵を返しに行く途中、

旧校舎の階段の踊り場で、古いノートを見つけた。

「誰のだろ……」

表紙には名前が書かれていない。

でも、開いた最初のページには、

震える文字でこう書かれていた。

『きこえるときは、返して。』

何の意味だろう。

ページをめくるたび、

同じ言葉が何度も何度も繰り返されていた。

“きこえる”“返して”“放課後”

最後のページだけ、少し違った。

『もうすぐ消える。誰か、残して。』

その瞬間、

廊下の奥で――カタン、と音がした。

誰もいないはずの教室から、

椅子の軋む音がした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る