第22話 回帰と最高峰への期待

遅延メールが届いた日から、数日後。

リビングのソファーに深々と座る彼の目の前には、ついに届いた丁寧に梱包された箱が一つあった。

彼は待ちかねたように、その箱を開ける。中から出てきたワックス缶は、彼が過去に試したシリーズと同じ、統一された形状だ。正面には製品名である北欧の文字がシンプルに印字されていた。

缶を回し、彼は説明書きの英文の上部に視線を固定する。そこには、四角のインジケーターがあった。

(■■■■■◧□□□□)

「……55パーセント」。

彼は心の中でつぶやいた。この数値は、ホームセンターの棚に並ぶワックスが、カルナバ蝋を入っているかどうかすら怪しい3パーセント程度でしかないことを知っている彼にとって、途方もない数字だった。

かつて撥水の限界に気づいた彼は、「本質的な保護」を求め始めた。ワックスというものが短命なのは知っていた。だからこそ、少しでも良い状態が長持ちしてほしくて、「高耐久」を謳うワックスへと手を伸ばした。当時の市場で彼が探し当てた最高水準のワックスでも、カルナバ蝋の含有量は40パーセントを示す(■■■■□□□□□□)だった。

しかし、このワックスはそれを大きく超えている。高耐久を買う時には価格を見て詳しく確認をしていなかったが、当時試した高耐久と同様に保護を銘打った北欧ワックス。彼は、カルナバ蝋が多ければ耐久が増すわけではないことを知っている。だからこそ、この15パーセントの差と若干のコンセプトの違いが、どんな違いを見せてくれるのか。そして、その価格からくる満足感はどれほどの物か。

彼は、そんなことを考えながら、缶の蓋をゆっくりと開けるのだった。

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