第3話 ムテキングは箒で飛ぶ

 新しい街へ行こう。

 魔女はそうして修行しておる。

 んじゃ空手家だって。

 箒で飛ぶ。

 飛んだっていいじゃない。

 ムテキングだもの。

 とりあえず。

 道着を黒くした。

 魔女っぽくした。

 なんか殺意の波動に目覚めたみてえだが。

 目覚めてねえし。

 寧ろ喪ってるし。

 正気を。

 マットーヤさんもテープに録音した。

 マットーヤさんは欠かせぬ。

 箒で飛ぶなら。

 マットーヤさんはマストーヤさん。

 やかましいわ。

 箒も雰囲気を出すために。

 重曹に浸けておいた。

 フニャフニャにしておいた。

 竹箒だから。

 フニャフニャにしておいた。

 これで嵐に驚かずに飛ぶ。

 箒だけだと不安だから。

 自転車にプロペラ付けた。

 箒は荷台に二本。

 ツインカムだ。

 だって怖えし。

 ツインカムなら大丈夫。

 プロペラの後流を当てやすい位置に翼を調整。

 取付角を鋭角にしたのは速度を重視した。

 チェーンにオイル挿したし。

 ヘッドマウントディスプレイも装着。

 カタパルトオフィサーがライトで誘導する。

 でででてーんてーんてーん。

 トップガンが聴こえてきた。

 マットーヤさん、どっか行った。

 電磁カタパルト、スタンバイ。

 ムテキング号、オールグリーン。


 カタパルト、オン。


 ムテキング号。

 一瞬でバラバラになり。

 ムテキングは遠くに射出。

 でででてーてーてーん。


 死。

 

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