何度巻き戻しても君が俺に惚れてくれない件

@takegeeeee

第1話 ツンデレ聖女、今日も俺にツンが過ぎる



王都アルステアの青空の下、鐘が鳴り響いた。

俺は石畳の広場の中央で、汗をかいた手の中の指輪を見つめていた。

「……よし、言うぞ。今日こそ、言うんだ……!」

胸の中で深呼吸。

彼女――王立魔導学院主席の天才美少女、エリス・ファリア。

俺の恋人にして、俺を日々罵倒してくる可愛い暴君だ。

「レオン、何をそんなににやけてるの? また変な薬でも飲んだ?」

「いや、今日は……大事な話がある!」

「大事な話? あなたがまともな話をする日が来るなんて……異変ね。」

……はい、ツン頂きました。

「それ、プロポーズの前に言うセリフじゃないと思うんだけど!?」

「ぷ、ぷろっ……!? 誰があなたなんかにっ!」

エリスは顔を真っ赤にして、魔導書で俺の頭を小突く。

うん、このツンがたまらない。俺の人生の至福。

だが、その瞬間――。

眩い閃光。

爆風。

すべてが白く塗り潰された。

「エリスッ!」

俺は叫んだ。

手を伸ばした。

彼女の姿が光の中に溶けた。

……次に目を開けた時。

「おはよう、レオン。今日が“入学式”ね!」

ベッドの脇で、制服姿のエリスが笑っていた。

しかも——まだ“俺と付き合ってない”時代の彼女。

俺はベッドから転げ落ちた。

「は? ……お、俺たち、昨日まで付き合って……?」

「なに言ってるの? 寝ぼけてるの? バカなの?」

ああ……。

この調子でまたツンの嵐が始まるのか。

でも、わかった。

これは——時間が巻き戻った。

王都を救う? もちろん。

でもその前に、

「……また、惚れさせてみせるか」

レオン・クロスフィールド、人生二週目。

ツンデレ攻略、再開である。


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