第9話 ドラゴン拾ったら女の子になった件

 ──今日も俺はゴミを拾っていた。

 なぜかって? だってそれしかスキルがないからだ。


 ティアナが隣で汗を拭う。「ご主人様、今日はもう十分です……」

 猫耳のミランは尻尾を揺らして言う。「またゴミ……ほんと好きだね」

 ルシアンが腕を組んで鼻を鳴らす。「どうせまたゴミの中から伝説の武器でも出てくるんだろ」


 ……出た。


「おいおい……ドラゴンの卵?」

 ゴミの山の中から、ひときわ大きな、虹色に光る卵が出てきた。どう見てもただのゴミじゃない。

 いや、でも俺のスキル《ゴミ拾い》が反応してるってことは……つまり、ゴミなんだよな。


 そっと触れると、卵が震えた。

 バキッ。

 そして、破裂音とともに中から光があふれる。


「きゃああっ!」

「な、なんだこれ!?」


 白い煙の中から現れたのは──美少女だった。

 長い銀髪、蒼い瞳、背中にはまだ小さな翼の名残。


「……あなたが、わたしを拾ってくれたの?」

「え、う、うん。まぁ、拾ったというか……」

「じゃあ、あなたが……ご主人様ね♡」


 お約束のご主人様来たーーー。

 思考の中でそんな声が聞こえた気がしたが、俺は気にしないことにした。


「わたし、ドラゴン族の末裔……アリエル。人間の姿になるとき、力を持つ者に従う掟があるの」

「なるほどな」

「ご主人様……あなたの力、感じるわ。これは運命ね♡」


 運命。

 初対面でそれを言うか。


 ティアナが眉をひそめる。「ご主人様……また女の子を拾うなんて……」

 ミランがにやにや笑う。「ハーレム、また増えたね?」

 ルシアンがため息をつく。「もう慣れた」


 アリエルはそんなことお構いなしに、俺の腕に絡みつく。

「私ね、人の姿になってる間は魔力が不安定で……ご主人様の近くにいないとダメなの♡」

「そ、そうなのか……」

 いや、距離が近い。胸が当たってる。物理的に近すぎる。


 そこへティアナがそっと割り込んだ。

「……ご主人様。離れすぎるとアリエルさんが不安になるなら、私も近くにいないと」

 左右から抱きつかれる。

 ミランも参戦。「ボクも、なんとなく!」


 ルシアンが空を見上げて言った。「終わったな、このパーティ」


***


 その夜。

 アリエルが焚き火の前で尻尾を出した。

「ご主人様……お腹すいたの……」

「そうか。じゃあ、ミノタウロスの残りを温めるか」

「えっ、ミノタウロス!? まさかそんな高級魔獣を食べるなんて!」

 アリエルの目が輝く。

「さすがご主人様……スケールが違うのね♡」

 ティアナとミランも微笑む。

 ルシアンは黙って肉を焼いていた。

「……どうせ次は神様でも拾うんだろ」


 その予感は、間違っていなかった。

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