コミック書評:『ブロック・ブロック・ブロック』(1000夜連続1夜目)

sue1000

『ブロック・ブロック・ブロック』

——恋も、部活も、ポッチひとつから。


とある高校の「レゴ部」を舞台にした『ブロック×3』は、誰も一度は遊んだことのある玩具をモチーフにした“部活マンガ”。キャラの濃さとレゴ愛が爆発した登場人物たちがぶつかり合う、にぎやか部活コメディの傑作だ。


主人公は、手先が致命的に不器用な女子高生・三浦まどか。何をやっても途中であきらめがち、特技ゼロ。そんな彼女がある日、一目惚れする。相手は、廊下で黙々とレゴブロックを拾い集めていた2年生・久世くん。無口でクール、そして「謎にカッコいい」と校内で噂されるレゴ部のエース(?)だ。


当然まどかは、恋のテンションで「私、レゴ部に入ります!」と勢いだけで入部を宣言。しかし待っていたのは、レゴへの情熱が過剰すぎるクセ強部員たちの巣窟だった。


・すべての「パーツ番号」を覚えている先輩(しかも喩えもパーツ番号でほぼ意味不明)

・1×1ブロックだけで作ることにこだわる“ミニマル派”の同級生

・ブロックを組むより分解が好きな逆張り女子

・やたら「実寸大」で何かを作りたがる筋トレ系男子


そんな猛者たちのなかで、まどかは唯一「まともで不器用」な存在。

だが、入部初日に「これ作ってみて」と渡されたのは、説明書なしの“謎ブロックパーツ”の山。ここから彼女の“レゴ人生”が始まる。


本作の魅力はなんといっても、作中にさりげなく混ぜ込まれるレゴビルディングのハウツー要素。

「基礎板は土台じゃない、思想だ」

「空間を“盛る”より、“抜く”ほうが難しい」

など、部員たちのクセのある助言を通して、読者も自然とテクニックを学べてしまう不思議な構成。中盤以降では、まどかが“目玉焼きだけの朝ごはん”をテーマにミニジオラマを完成させるパートが白眉。シンプルなのに妙に情緒があるその完成品に、レゴの奥深さを感じさせられる。


一方、学校生活の描写も抜かりなし。“等身大の高校あるある”が丁寧に拾われ、ギャグを交えながらテンポよく展開される。ヒーロー・久世くんとの関係も、恋というより“敬意と憧れ”に近く、じわじわ距離が縮まっていく様子が微笑ましい。


ほどよく抑えられた恋愛要素も絶妙で、逆にそれがリアル。最終話で久世くんがぽつりと「三浦さん、ブロックの扱い、少し上達しましたね」とだけ言うシーンは、恋とか告白とかよりもずっと沁みる。


まとめると『ブロック×3』は、個性的な登場人物たちを通じて「創る楽しさ」と「等身大の青春」が、絶妙なバランスでブレンドされた新感覚部活コメディだ。思わず自分でもブロックに触れたくなるし、「何かを上手に作れた日」の小さな喜びを思い出させてくれる。


第2巻では、文化祭で“動くレゴ展示”に挑むらしい。すでに楽しみすぎる。







というマンガが存在するテイで書評を書いてみた。

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