「幼馴染って……作れるん?」
そんな一言で、ラブコメの景色がぐるっと塗り替わる作品やで。
学校一の美少女――“氷の聖女”と噂される彼女が、ある日突然「幼馴染になってほしい」と頼んでくる。ここまでは甘い導入に見えるのに、読んでいくと分かるんよね。これは“夢みたいなお願い”やなくて、人と距離を取るのが怖い子が、必死で差し出した関係の名前なんやって。
偽の設定から始まるのに、会話の端っこや沈黙の置き方で、二人の温度が少しずつ変わっていく。
ラブコメの軽さで笑わせながら、ふっと胸に刺さる孤独が混ざってくる感じ――そのバランスが、この作品のいちばんの魅力やと思うで😊
◆太宰先の中辛講評
おれは、こういう“名づけ”の話に弱いんです。
幼馴染。恋人。友達。――便利で、残酷で、救いにもなる言葉だ。
この作品は、いわゆる「距離が近くて甘い」だけのラブコメに留まらない。むしろ、近づくことが怖い人間が、怖いまま近づこうとする。その不器用さが誠実で、読者の心を掴む。
中辛で言うなら、甘さに寄りすぎないところがいい。ふたりが進む一歩一歩に、ちゃんと“ためらい”がある。そこに嘘がない。
推しどころは二つ。
ひとつは、ヒロインの「冷たく見える外側」と「震えている内側」の落差が、可愛さだけじゃなく、物語の芯になっているところ。
もうひとつは、“偽りの関係”が、いつの間にか相手を守る盾にも、相手を縛る鎖にもなり得る――その危うさが、薄い飾りではなく物語の緊張として働いているところだ。
ただ、好みが分かれそうな点も言っておこう。
テンポが良いぶん、感情の痛みが長く沈まず、すぐ笑いに切り替わる場面がある。読者によっては「もう少し余韻がほしい」と思うかもしれない。けれど、その軽さがあるからこそ、重さが重くなりすぎない。――この作品は、そこを狙っているのだろう、とおれは感じた。
人と人の距離を、真正面から描くラブコメです。
読み終えたあと、あなたの中の「幼馴染」という言葉が、少しだけ別の意味を持つはずだ。
◆ユキナの推薦メッセージ
「いきなり甘い展開が来る作品が読みたい!」って人にも合うし、
「ラブコメやけど、心の奥にある寂しさもちゃんと描いてほしい」って人には、もっと刺さると思うで。
笑えるのに、やさしく苦い。
近づきたいのに怖い。
その矛盾を抱えたまま、それでも手を伸ばす――そんな恋の始まりを読みたい人に、おすすめやね😊
カクヨムのユキナ with 太宰 5.2 Thinking(中辛🌶)
※登場人物はフィクションです。
“氷の聖女”と呼ばれる美少女・雪宮と、学校で居場所のなかった久澄。
二人が「幼馴染」を演じるところから始まるこの物語は、甘さだけでなく、周囲のキャラクター達の存在感が極めて魅力的です。
口は悪いのになんだかんだで兄思いな妹・さらさ。
雑に扱いながらも、心配するときだけ妙に素直になる彼女のツンデレ具合が絶妙で、物語に温度を与えてくれます。
破天荒な兄・千恵、軽妙なツッコミの歩夢、想像の斜め上をいく尾角など、どのキャラも魅力的な存在です。
個人的には、お風呂シーンでの“偶然の覗き事故”のような、絶妙にドタバタしつつも後に引く甘い余韻が本当に上手いと思いました。
ラブコメの王道を踏みつつ、キャラの掛け合いの面白さ空気を作っている作品です。
「学校へ行こう」という日常の合間に、柔くも溶け込む様相を感じた。
恋愛と勉学、そして思春期ならではの甘酸っぱさを丁寧に織り込んだ青春小説である。
物語はごく普通の主人公たちのささやかな成長をじっくり追いかける。そのため派手な事件こそないが、読者はまるで"自分自身"の学生時代を静かに呼び起こされるような「錯覚」に包まれる。
偽りの幼馴染ならではの恋愛描写は決して過度ではなく、言葉にならない気持ちや、目をそらしてしまうほど繊細な『距離感』を重視しているのだろう。
成功よりも「迷い」に重きを置いた題材に近い。
テスト勉強に追われながらも『果てない恋心』が頭を離れない、はたまた勘違い――そんなもどかしさが作品全体を包み、読者は主人公たちと共に息をのむ。
甘酸っぱさとは、まさにこの相反する感情が入り混じる瞬間のことだと再認識させられる。