3話目

スマホの目覚ましで起きた。無味乾燥な生活がまた始まる。


洗顔・歯磨きを終え、制服を着て学校へ向かう。朝食はコンビニで買うしかない——母は毎朝家にいるわけではなく、仕事のスケジュール次第だ。


「早く卒業して働きたいな。家の負担を少しでも減らそう。放課後、アルバイトを探してみるか?」


教室のドアを開ければ、僕にとって退屈な一日がまた始まる。実は学校には面白いことがいっぱいある——例えば恋愛小説のような三角関係、あるいは主人公の親友が頻繁に恥ずかしいことをする場面など。


だがどんな話も僕とは無関係だ。だから周りのことに興味を持たない。ただひたすら無関心な人間になろう。


昨日別れる前に、先輩と連絡先を交換したような… 連絡してみようか? 明明昨日「空いたときに連絡してもいいですか」と聞いて、先輩も承諾してくれたのに。今思えば勇気がでたな、そんなこと言えるなんて。


「え? 僕にも弁当を作ってくれたんですか! 本当にありがとうございます。何かお返しをしたいです。それでは昼休みに食堂で会いましょう、本当にありがとうございます先輩!」


思いがけず先輩から連絡が来て、しかも弁当まで持ってきてくれた。心がごめんなさいって感じで、必ず何か返さなきゃ。


「このメンチカツ、めちゃくちゃ美味しいです! ソースもさっぱりしていて脂っこくないです。玉子焼きも美味しいです。先輩、こんなに料理が上手なんですね! 本当に隠れた腕前ですね。」


「うちがレストランを経営してるから、ずっと前に家族に教えてもらいました。高校でようやく佐藤くんという友達ができたので、早く自分の手料理を味わってもらいたかったんです。」


「弁当、本当にありがとうございます先輩。何かお返ししたいです… 放課後、デザートおごりましょうか?」


「いえいえ、デザートばっかり食べちゃ太るでしょ。しかも佐藤くんの財布、そんなに裕福じゃないでしょ? それなら、後輩くん、一件お願いがあるんだけど?」


「そんなに過分なことじゃなければ、何でもできます!」


「うちのレストランでアルバイトしてくれませんか? ウェイターのお手伝いで大丈夫です。元のスタッフが個人的な都合でこの前辞めちゃったんです。放課後、私と母さんで忙しくて… 母さんは年齢も高く体調が悪いので、新しいスタッフを探してもなかなか見つからなくて。」


「はい! 僕もちょうどアルバイトを探していたんです。先輩、ありがとうございます!」


「いえ、こちらこそありがとう。けっこう強引な願いだと思ったんだけど、意外と快く承諾してくれたね。」


「いえいえ、先輩はそんなに遠慮しなくて大丈夫です。今日から始めます! 後で家族に連絡しておきます。」


「佐藤くん、本当に優しい人ですね。」


「おかえりなさい!」


高橋先輩の母さんが、とても親切に二人を迎えてくれた。


「お母さん、こんにちは。私は高橋先輩の友達で、これからここでアルバイトをさせていただく佐藤です。」


「娘から聞いていたわ。お願いに応じてくれてありがとう。りんちゃん、手伝ってあげて。」


先輩の家のレストラン、本当に繁盛してる! ずっと客が来ている。先輩の父親の料理の腕もすごいらしく、配膳中に料理の香りを嗅ぐたび、つい惹かれちゃう。


「佐藤くん、お疲れ! この生ビール二杯、あのテーブルに持っていってくれ?」


先輩の父親、めちゃくちゃ体格がいいです! 体が丈夫で、仕事する姿も元気いっぱいで、まったく四十歳とは思えない。先輩は注文を取ったり配膳したりと忙しくしている。この家族と一緒に働くと、意外と楽しいな。


いつからか、こんなににぎやかな場所にいたことがなかった。小さいころから人の多い場所を避けてきた——人が多くなるとうるさくて、頭が痛くなるから。勇太とカリンは、以前は僕のこの孤僻な性格を気にしなくて、むしろ包容してくれていた。だけど、最後に二人は僕を離れていった。


「何をぼーっとしてるの? 早く動いて! 客が待ち切れなくなるよ。」


「先輩、真面目な姿が魅力的で… 見とれちゃいました。」


先輩は白眼をして、また忙しくなった。


「佐藤くん、今日はお疲れた。時間が遅いから早く帰宅して。掃除は僕がするから。」


先輩の父親が、一つ弁当を持ってきてくれた。


「娘から聞いたけど、お母さんは遅くまで働いてるんだろ? この弁当、さっき作ったものだから、持って帰ってお母さんと一緒に食べてくれ。」


「本当にありがとうございます! 次回はもっと頑張ります!」


「いいよ、遠慮するな。娘の友達になってくれて、ありがとう。普段は娘の生活に関心を持っていなくて、これまで友達を家に連れてくることもなかったんだ。お前、彼女の最初の親友なんじゃないの?」


「お父さん! まるで私が内向的な人間みたいに言わないで!」


「すまんすまん、我が娘。」


おじさん、高橋先輩の前ではこんなに優しいんですね。やっぱり娘を可愛がってるんだ。


「俺の娘、好きか?」 おじさんが僕の耳元でささやいた。「男は男を知る。お前が俺の息子殿になるなら、俺は承知するぞ。」


瞬間、顔が火照ってきて、頭が真っ白になった。何て答えていいか分からない。


「お母さん、おじさん、さようなら。りんちゃん、さようなら! 帰宅します。」


バタバタと逃げ出した。でも、不意に高橋先輩を「りんちゃん」と呼んじゃったようだ。なんでそんな勇気が出たんだ? 明日先輩に会うのが怖くなっちゃった。家に帰ったら、メッセージで謝るか。


家に着いたのは九時。思ったより遅かった。母は僕の数分後に帰宅してきて、僕はまだ温かい弁当を渡した。


「翔太、アルバイトを始めたんだね。午後に電話で聞いた時、びっくりしたよ。もう大人になったね。」


「お母さん、一人で働くのは大変だと思う。家の負担を減らしたくて、ちょうど学校の友達の家のレストランでアルバイトを探していたら、誘ってもらったんです。」


「感動するわ翔太。でもお母さん、翔太にもっといい生活をさせるために働いてるから、苦労しても疲れないよ。自分を卑下しないで。アルバイトを支持するから、もし疲れたら家でゆっくり休んで、お母さんが養ってあげる。」


「もう子供じゃないです。お母さん、食べたら早く休んで。僕はまだ勉強があるので、少し遅くまで起きてます。」


「うん、お疲れた翔太。」


「本当はお母さんの方が苦労しているんです。では、自分の部屋に入ります。おやすみなさい、お母さん。」


部屋に戻ったら、急いで先輩にメッセージを送った。さっきのことを謝らなきゃ。


「寝てますか先輩? 今日、無意識にお家人の前で「りんちゃん」と呼んでしまって、本当に申し訳ございません。」


先輩はすぐに返信をしてきた。


「友達じゃないの? こう呼んでくれて大丈夫だよ。いつまでも「先輩」って呼ばれると慣れないから、これからはこう呼んで。友達同士、敬語使わなくていいよ。バカ翔太。」


「那么、おやすみ翔太。明日見ましょう、寝るね。」


「おやすみ、りん。」


話してる間に思ったけど、僕は他人から見ると、本当に先輩を好きに見えるの? 僕は先輩を尊敬する親友と思っているんだけど… 自分でも気づかないうちに先輩に対して特別な感情を抱いているのかな?


もうこんなこと考えたくない。勉強しよう。頭が混乱しちゃった。


結果、夜ベッドに寝てもずっとこのことを考えて、よく眠れなかった…

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忘れられた僕たち kkkrio @kkkrio

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