冷房が効かない部屋では、
全てが曖昧に溶けていく。
お互いの距離感とか、
感情とか、
コンプレックスとかも。
そして、やがて二人の境界さえも溶けていってしまう。
暑い暑い部屋と、多分埃の被った扇風機とか。
そんなものが頭に残るんだと思う。
この話を読んで思い出したのは、
友達のことでも恋人のことでもないが、兄貴のことだった。
彼は人前で絶対に裸にならなかった。
家族で公衆浴場にも行かないし、海水浴に行った時も彼は宿から出なかった。
あれは何でなんでだったんだろう? と思っていたが、
それは、背中におアトピーが広がっているからだったと言うことを、大人になってから知った。
些細な原因で人間は本当に素直になれない。
でもその距離感が、たまらなく愛おしいものだ。
ご一読を。