怠惰な教師は今日も指導する
wkwk-0057
第1話
今日も今日とて耳障りなチャイムが鳴り響く。
僕は寝ぐせのついた頭を掻きながら教室の扉を開ける。
「おはよう」
そう一言いい教卓の前に立つ。
もう、立つのもきつい。早く座ってしまいたい。
「起立、姿勢、礼」
「お願いします」
そう生徒の声が教室の中で響く。
皆姿勢よく僕が話し始めるのを待っていた。
正直、教師という立場は好きじゃない。
だけどここに来てしまったらやらないといけない。
じゃあどうするか、自習だ。
自習は最高だ。
遊びたい奴は遊んで、勉強したい奴は自主的に勉強する。
な?最高だろ?
「じゃ、自習にします。せんせーはここでパソコンいじっとくので~」
「は?」
クラス中がざわざわと騒ぎ出した。
職務怠慢だ。そりゃそうだ
「おいおい、先生がそんなんでいいのかよ……」
そう僕に言葉を投げかける生徒
「とてもいいじゃないか、遊びたい奴は遊び、勉強したい奴はすればいい」
僕は思っている言葉を淡々と話す。
「よく、これを屁理屈だ。とかいう教師がいるがな?僕はそう思わない。理屈は通っているだろう?」
「頭おかしいよこの先生」
そう真ん中の列に座る女子生徒が言う
「おやおや、はじめましてなのに随分貶してくれるじゃないか。せんせー悲しいなー」
僕は別に思っていないことを話す。
「ま、僕がこの授業に来たということは君たちと一年間過ごすことになった。よろしくね」
そう僕は笑顔で生徒に寄り添うように……そんなわけはない。ただ笑顔の方が良いと、学園長に言われたから笑顔でいるだけだ。HAHAHA
そして僕はこのクラスの問題児である
蘭、エルフィ、蒼の三人を横目に黒板に自分の名前を書く。
「
すると、問題児三人が教室から出ていく。
「おーい、どこ行くんだい?」
そう俺が呼びかけると
「俺らより弱い奴の話は聞きたくない」
そう言葉を吐き捨て出ていく。
うーん……嫌われたみたいだ……
人間関係を築くの面倒だな……
まぁ、いいや。
そして、やっとこさ授業を終わらせ職員室に戻る。
僕の噂をしているのだろう。僕が無能力者だと思われているからだろうな。
まぁ戦う機会がないから見せてないだけなんだけどね。
ヒソヒソと僕に向かって陰口を叩いてる。
うーん……如何せん人の付き合いというのは面倒なものだ。
仮眠しよ……
僕は目を覚ます。
辺りは暗く時計は22時を指していた。僕は軽く伸びをしてパソコンの電源を落とし外に出る。
僕は煙草を咥え火をつける。
刹那僕の頬を何かが軽く皮膚を削る
「ほら、先生。死んでしまいますよ」
暗闇から現れたのは蘭だった。
「辞職した方が良いですよ。先生の為に言ってるんです」
「えぇ~やめないよ。楽して稼げるんだから」
煙草の煙が揺れる
「……そんなんだから舐められるんですよ」
そんなん知ったこっちゃない。
僕が楽できればそれでいい。舐められているだとか、弱いだとか興味がない。
「どうでもいいよ」
蘭は僕に手をかざし能力を発動させる。
鋭い刃が僕に向かって発射される。
「じゃあ、死んでください」
そして僕の胸を貫通した……はずだった。
刃は僕に突き刺さる目前で消滅した。
「は?」
そんな素っ頓狂な声とともに雨が降り始めた。
「え?雨?」
「いやぁ、運がよかったよ。まさか刃が消えるだなんて」
まるで感情が消え失せたかのような棒読みで答える。
僕は火の消えた煙草を空中に投げ捨てる。
そして煙草は空中で消失した
「は?」
そんな声が蘭から聞こえる。
消失した代わりに近くにあった一輪花が枯れる
「何したの」
震える声で答えを僕に聞く。
「簡単だよ」
そう一言言って微笑む
「僕は運か良いだけなんだ。この世界は運でできている。人々は個人個人が選択し、決定していると思っているがそれは違う。その選択を与えるのは運で、決定しているのも運の定め。 そして、僕はその選択肢の運も、決定する運も全てが良いんだ。ラッキーマンなんだよHAHAHA」
「何それ……」
蘭が1歩後退る。
僕はライターをつける。
そして煙草に火をつける
「何して……」
刹那学園中の電気が消える。
あたりは暗闇に包まれ煙草の匂い、光と雨音だけが辺りを支配する。
僕は近づく。
「ねぇー、もうやめようよ。めんどいだけだよ?」
僕は暗闇の中を歩く。
すると蘭は転けた。
「なんでここだけ凹んでるの?!」
「だって世界がそう補正したから?」
僕がそう軽やかに答えながら、しゃがむ。
蘭と同じ目線で話す。
「君らは"弱いやつの話は聞きたくない"そう言ったけど……弱かったのは君だったね」
僕は上に向けて煙を吐く煙を吐く。
―――――――――――――――――
煙が空中を上りやがて消える。
そんな当たり前なことのように、目の前の教師は異常な事を次々に告げる。
私は悔しくて、拳を握る力を強める。
敵わない。
そう頭で理解しているのに、こいつの理不尽な強さを認められない。
そしてこのクソ教師は
「早く帰らないと風邪ひくぞ」
そう言い煙草の煙を夜空に向けて吐く。
「クソ喫煙教師が」
そう吐き捨て私は走り去った。
―――――――――――――――――
蘭の背中を見届け
立ち上がる。
「……やべぇ……この枯れまくった花どうしよう」
僕の能力は地球が補正をする。
例えば物が存在する為だけのエネルギーがあるとする。そして、その物を消したら、本来そこに存在しているはずの存在する為だけのエネルギーが別の物に影響する。
だが、元々存在する為だけのエネルギーがある物体に影響すると、打ち消しあって壊れてしまう。
まぁ、簡単に言うと物を消すと、他のものも消えてしまうよ
ってことだ。ただ、ついでに消される物体はランダムって訳なんだが……
これはひとつの例だ。
全部が全部壊れるわけじゃない。
性別が変わっていたり、時間が進んでいたりだとか、色々干渉してしまう
そんな能力だ。
そんなことを考えながら、僕は職員寮に向かったのだった。
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