第2話 Why didn't she write?
妻戸の隙間からこぼれ落ちる月の影。几帳の帳をかすかに揺らす夜風。薄物を
訪れを待ち望んで恋い焦がれた
ことりと扇を置く音。かがみ込んで身を抱き寄せる衣擦れの音。抱きすくめられても男の躰にだけは触れないように細心の注意を払う。女の躰は「あなたは
己の肌に触れる
「男性の作る
いつかどこかでそんなふうに言われたことを思い出す。「女」を抱いた
「お前が男に生まれなかったことが私の一番の不運だよ」
私の胸を剣のように突き刺す言葉はたった一つだけ。私が仮想現実で「男」の人生を生きることは一生ない。だから私は今日も
3Dホログラムのコンソールをフリックしながら、課金コースのランクの数だけ「女君」の感覚のデータを割り振る。七段階に分けられたコースに「
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