第一の槍の書〜百禍の章〜 (敵性目録)

(正典「歪なるものの章」への反論)


 かの書は『海の尖兵』を、ただ『歪み』の一つとして片付けた。

 それは『狩人』の目を持たぬ者の無知である。


 『泥の子ら』は過去の残滓。『陽の子ら』は我らの獲物。


 だが『海』の子らだけは、我らの『敵』である。

 彼らを正しく識別せよ。


『硝子の鱗を持つ者』

概要:深海の圧力で鍛えられた肉体と、音を反響させて仲間を呼ぶ声を持つ。集団で狩りを行う。

弱点:『陽』の光に弱く、乾燥した砂の上では急速に力を失う。彼らの縄張りである湿地や海辺に引きずり込まれるな。


『歩く珊瑚』

概要:『海』の混沌が意思を持ち、砂浜の残骸を取り込んで動く鎧。物理的な攻撃はほぼ通じぬ。

弱点:核となる『幽』の意志がある。音を聞け。意志は不協和音を立てている。その一点を『陽』の力で灼け。


『霧呼び』

概要:最も危険な敵。翠点に忍び込み、水を汚染し、濃霧と共に現れる。霧に触れた者の精神を『海』の混沌に引きずり込む。

弱点:実体を持たぬが故に、『陽』そのものである『炎』を極度に恐れる。また、彼らは『海の結晶』に強く引き寄せられる。誘き出し、炎で滅せよ。


 これらは百禍の一部にすぎぬ。


 『狩人』よ。敵を知り、牙を研げ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る