心がなかった天使-君と響き合う世界で-

ユミル

プロローグ

「やっと完成するぞ……」


 白衣を着た研究員が叫ぶ。


 とある研究室で研究者数名が機械人形の開発に携わっていた。


 戦闘用に開発された女性の美しい見た目をした機械人形、名前はガブリエルという。


 ガブリエルの開発が完了した時、圧倒的な武力で戦争は終わるはずだった。


 しかし、その戦争で彼女の戦闘能力を使うことはなかった。


「おいっ!!大変だ!」


 突然、ノックもせずに研究室内に入ってきた男がいた。


「なんだね?そんなに慌てて、今ちょうどこの機械が完成したところだというのに」


「両国が停戦交渉をしたらしい……私たちの研究は無駄になるのか……?」


 その話を聞いた誰もが、青ざめて顔を見合わせていた。


 その後、ガブリエルはとある廃品置き場に捨てられてしまうことになる。


 戦争が終わったとなってしまえば彼女の居場所はないのだから。

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