夢を諦めたその日から。
叶希
プロローグ
人は何故、失うほどに何かを積み重ね強く、そこに爪痕を残そうと抗うのか。
そう、考えたことはないだろうか。
歪んでいて美しい。それが世界。
何かが欠けているからこそ輝くソレを人は昔から愛している。
歴史的建造物。
人々の記録。
偉人。
けれどそれら全てが僕にとって灰色にみえた。
今も尚、口にする食物の味が薄い。
希望をかなぐり捨て耳を塞いだ僕の有り様だと思う『ボク』もいる。
そんなのただの被害妄想なのだろう。
そう、思っていた。
鈴の如く頬をほころばせ笑うその笑顔。
この歪んだ世界に向ける生ぬるいその涙。
そして無償に与え続ける慈悲の愛。
そのようなものがこの世にまだ根を生やして人の形をしたものの中で生きていたなんて
当時の僕は思いもしなかった。
刺激されることを忘れていたのかもしれない。
どちらにしろこのような人生、有様。
どのようにして<今>の僕が形成されたかなんていくらでもフィクションという名の言い訳はできる。
しかしそのフィクションとやらに構ってやれる暇はない。
人は弱く、そしていつも何かを成し遂げて生きる生き物。その生き物である僕は本能的にフィクションとやらに顔を背けてしまう。
少しだけフィクションに入り浸るくらいが今の僕らにとって丁度いい。
人とは何か愛とは何か。そんな哲学的な世界の話を語りたい訳ではない。
僕が知りたいのはそこにある今だ。
今日もごく平凡な日常の中で今の僕に問いかけ続ける。
夢を諦めたその日から___
夢を諦めたその日から。 叶希 @tokimu1014
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