帰り道での出来事

@kame104f

帰り道での出来事

 これも全然怖くない話なんですけどね。大学を卒業して、働き始めてから2,3年経ったころの話です。


 翌日の午前中に予定している会議の準備をしていたら、思っていたよりも時間がかかってしまいまして。


 自宅近くの最寄り駅へ着いたのは、日付が変わるまであと三十分もない時刻でした。


 とにかく早く帰りたくて、コンビニにも寄らずに自宅を目指しました。

 時間も時間だし、夕ご飯はパスしてすぐに寝たかったんですよね。


 駅から歩いて十分位のところに住んでいるんですが、途中に踏切を渡る所があるんです。


 急いでいるときに限ってというか、その時も警報音が鳴り始めて、目の前でバーが下りてきてしまいました。


 すぐ脇に立っている通過電車の表示を見ると、左から右へ通過する電車だけだったので、


(すぐにバーも上がるだろう)


 そう思って、携帯も出さずにぼうっと待っていたら、


「今日は何月何日でしょうか」


 耳元で低い男性の声がしたんです。


 慌てて周囲を見渡しましたが、僕以外誰も居ませんでした。


 疲れていたし、空耳だったと言われれば、それまでの話なんですけど。


 仮に声を掛けてきたのが幽霊だったとして、彼が日付を知りたかった理由って何だろう……と少し気になりますよね。


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