転生先はアンデッドでした

ルケア

第1話転生させられるって

 真っ白な空間。何もない訳ではない。そこら中に、火の魂があるんだけど。これってどんな状況なんだ? よく解らないな。何がどうしてこうなっているんだろうか。


「やあ、僕は神様だよ。よろしくね。大勢の地球人たち」


 ……なんだ神様か。なんて言うと思ったか? 何で神様がここにいるんだよ。そもそも俺はなんでこんな所に居るんだ?


「まあ、戸惑うなって方が無理だろうから、色々と説明をしていくんだけど、まずは、簡単に言おうか。君たちは死にました。なので、異世界に転生してもらいます」


 ふーん。ほーん。へー。なるほどね。死んだのね。……何時だ? 最後の記憶は何処だ? 何故死んだ? ……思いだせない。なんで死んだんだろう?


「覚えてないのは無理ないよ。その時の記憶は消したからね。そりゃそうでしょ? 痛い思いをした記憶なんてあっても邪魔だしね。取り除いておいたよ。まあ、今から説明するから聞いてよね。あれは――」


 なるほど? 電車が事故って死んだのね。……通勤電車だったっぽいな。朝のラッシュ時にそれをやらかしたのか。それはこんなに人魂が集まっている訳だ。それだけ大きな事故だったんだろう。記憶には無いけど。まあ、転生させてくれるって言うんだから、良いんじゃないかな。もう死んだんだろ? なら諦めるしかないよなあ。これが夢であれば、……いや、現実の方が嬉しいまである。どうせ独身貴族のブラック社員だし。気軽な1人身だったからなあ。死んだならいいや。困ることは少ししかない。読んでた漫画の続きが読めないのが心残りだな。


「そういう訳で、解った? 死んでしまったからには、仕方がないよね? 嘆いても無駄だしさあ。それなら魂を有効活用した方がいいじゃん? だから、転生させるの。地球側の神様とは、交渉が終わっているから、安心していいよ。それじゃあ、色々と説明するね」


 と言う事で、嘆くのは止めて、話を聞くことに。何のことはない。地球とは違った世界に放り込まれるだけなんだ。その時の自分を作ることが、俺たちがまずやらないといけない事らしい。転生するんだけど、ステータスとかを決めないといけないらしいんだよ。だから、ポンっとステータスを見られるようにしてくれた。


――――――――――

名前:

種族:

Lv:0

HP:

MP:


STR

VIT

INT

MND

DEX

AGI


スキル


――――――――――


 ほうほう。なるほどね。これを弄っていくことが俺たちのやらないといけない事なのか。


「ステータスは読めるようになっているよね? 文字の読みは出来るようにしておいたから。書くのは自分で何とかしてね。まあ、読めたら書けるよねって思うかもしれないけど、案外難しいから。君たちだって、漢字は読めるけど書けないって事もあるでしょ? まあ、向こうの世界はどちらかというと、ひらがながメインになってくるから、書こうと思えば書けるとは思うけどさ。それはいいとして、ステータスには100ポイント、スキルには300ポイントあるから、それを使ってステータスを作ってよね。時間は、この砂時計が落ちるまで。出来上がったら、即時に送り込んであげるけど、時間が来たら、ランダムで作成して送り込んであげるから。よく解らないって人は、時間まで待機で良いんじゃないかな。そんなに滅茶苦茶な事にはしないからね」


 ……滅茶苦茶な事が出来るのか? 出来るとして、どうなるんだろうか。とりあえず、HPとMPを無しでステータスを決めてしまった場合はどうなるんだろうか?


「後は、そうだな。HPとMPに関しては、計算で出すからね。HPがVIT*3+MND*3で、MPがINT*4+MND*2で算出されるから。その辺は心配しなくても良いよ」


 なるほど。それじゃあ、適当にしてみるか。例えば、INTに100ぶち込んで、他が0でどうなる? これでバグが出なければ、極振りが可能だと言う事にもなるんだけど……。出来るのか。マジで? 他のステータスが0でも良いんだ。……じゃあ、マイナスにしたらどうなるんだ? そもそもマイナスって入るのか? そんな訳で、やってみました。マイナスが普通に入った。しかも、マイナスを入れれば、他の所に数値が振れるようになる。何と言う事でしょう。さっそく悪用が出来るじゃないか。……でも、どれをマイナスにすればいいんだろう? STRが無いと、力がない訳で。VITがないと、どうなるんだ? HPがなくなるのか。それは不味いんじゃないだろうか。いや、でもなあ。HPが無いだけで死ぬのかね? 解らないなあ。デメリットが無い方が良いなら、マイナスを入れるんじゃねえって事になるんだろうけど、入れられるなら、試してみたくはあるよな? ほら、ロマンって奴? 憧れるじゃないか。


 それと、スキルもポイントがあるんだよな? ……スキルって多すぎませんかね? もしやこれもマイナスで入力できるのかね? 例えば剣術。これをマイナスにした場合って、どうなるんだろうか。……使えるポイントが増えた。と言う事は? これをこうして、これをこうした場合、おおー。なるほどね。スキルもマイナス方向に伸ばすことが出来ると。へえ。スキルレベルも100まで伸ばせるし、マイナス100まで入れることが出来ると。そうしたら、近接攻撃は捨てよう。魔法系のスキルを全部取ってしまう方が良いな。よしよし。そしたらこれでどうだ? これなら……。あ、ステータスはどうしよう。どのステータスが要らないんだ? VITって必要なのかな。マイナスでも良い気がするなあ。HPが無ければ、どうすれば良いんだろうか。でも、何とかなるんじゃね? こういう時は、思いっきりが大事なんだ。どうせ2度目の人生なんだし。早々に死んでも仕方がないよな。じゃあ、こうして、いやいや、どうせなら思い切って極振りした方が楽しいか? いやー、それならマイナスを大きくすればいいや。ある程度は均等に振っておこう。よし。これでいいか。それじゃあスキルだけ何とかしないといけないか。何が欲しい? 魔法は全部ほしい。だから、これをマイナスにして、こっちもだな。よしよし。とにかくこれって納得できるまでステータスを弄ろうか。


 そんな訳で、時間いっぱいまでステータスを弄り倒した。これなら大丈夫だろう。まあ、スキルは良いんだけど、VITが無いから、生きられないかもしれない。生きられない時はその時だ。どうせ2度目なんだから。思い切ってやってやろうじゃないか。


「さて、時間だよ。それじゃあ、順番に魂を流していくからね。それじゃあ、第2の人生、楽しんでね」


 さて、流れ作業で送られて行く。こうして転生させられるのか。なるほどなあ。……あれ? 俺の流れが止まったぞ? どうしたんだ?


「あー。これは酷い。滅茶苦茶じゃないか。まあ、良いけど。でも、制限を設けるからね? 制限になるのかは怪しいけど……。けど、こうなった以上はこうするしかないよなあ。全く。こういうので遊びにくるって思わないでしょ? 出来ない事は無いから、仕方がないけど……。まあ、いいか。君は人には成れないよ? 多分だけど、魔物として生きる事になる。制限も付けるし、なんならそのVITをなんとかしないといけない様にしたからね? 自業自得だと思ってよ。それじゃあ、いい旅には、なるんだろうか? まあ、生きられるから安心してよ。というか、種族によっては死なないんじゃないかな。無限に生きるって言う地獄を味わうがいいさ。寿命の無い魔物で、一生暮らしていくことになるとは思うけど、それは僕の知ったことではないしね。でも、世界は壊せないように制限をかけておかないとね。これで良し。それじゃあ、いってらっしゃい」


 なんか制限が設けられたらしい。まあ、当然か。やり過ぎた感はあるし。でも、後悔はしていない。これでいいんだよ。

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