第1話 

私にはちょっと人と違うところがある。

それは多分・・としか言いようがないのだけど前世の?記憶がうっすらぼんやりと残っているのだ。


それに気がついたのは、私が5歳の時にすってんころりんして夢を見た時だった。

痛さでギャン泣きしながらそれと同時に猛烈な頭痛が襲ってきて倒れてしまった。

家族は慌てて私に駆け寄って名前を言ってるのを聞きながら意識は無くなった。


そして夢の中で天空に聳え立つ建物に、動く鉄の車。空を飛んでる鉄の塊。

そして、列車というものの中にたくさんの人間にぎゅうぎゅうに押されながらも

会社というところに朝早くから行き夜遅くまで働く女性の姿がいた。

女性は生活に時々不満を抱えながらも、毎日の生活を続けていた。

女性は本を読むことと、食べることと洋服を買うのが好きだった。そして年に数回の旅行。そして何よりもおひとり様生活を何よりも楽しんでいた。


美味しいものがあると聞けば、その店に行って食べる。

自分好みの服があれば、その服を買う。

そして行ってみたいところがあったら、迷わずいく。

その世界は情報にも満ち溢れていた。

その情報を読み取りながら、毎日生活をしていた。

時にはその情報過多になりながら。

女性は生活に疲れながらも生活を楽しんでいた。


だが、毎日の仕事が過酷だったのだろうか?女性はある日仕事場で倒れて病院に運ばれてそのまま息を引き取ってしまった。


そして、女性は神様に出会い、願ったのは「魔法もチートも冒険もいらないただのスローライフを送りたい。ただし衛生面とインフラはしっかりしてるところじゃないと嫌だ!」だった。

そして女性は「私」としてこの世界に生を受けたのだった。



で。目が覚めた私は、自分の置かれた状況を見た。

なーんもない牧歌的という言葉が似合う農村の家庭で生まれ落ちていたのだ。

しかも辺境という・・・。


私は思った。流石に何もなさすぎる!あんな夢を見た後にこの状況はいくらなんでもなさすぎる!

スローライフ!確かに望んだよ!ここで暮らせば確かにスローライフできるよね?

衛生面!トイレも水洗トイレだし。お風呂もある。

石鹸もあるし、髪を痛めない香油もある!!

日本で生まれた人間にとって過不足ないです!今の所!!

でもでもでも!!!可愛い服がない!スイーツもない!

それは・・悲しすぎる!あまりにも悲しすぎる!!


目が覚めた瞬間。父親と母親は私の無事を祈って泣いて喜んだ。

この世界において、子どもはいつ亡くなってもおかしくないのだ。

だから、大人たちは子供を宝物のように育てる。


私は父親と母親が泣いてるのを眺めながら、私は前世の蘇った記憶を整理した。

私は前世で読んでいた異世界転生物のテンプレを思い出していた。

様々な転生の中でも貴族でもなく、人外でもなく、村人でよかった・・と


ただ・・。前世を思い出したら、何もなさすぎるのもなんだかなあって思ってしまったのだ。


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