誕生日おめでとう(泣)

近郊

第1話


 今日は何の日?




 夜の12時、クラスメイトから誕生日を祝うメッセージが大量におくられてきた。

「お誕生日おめでとう!」

「生まれた日なんて、めでたすぎる。」

「これからも友達でいようねー!」

つい、笑みが溢れる。もう寝ようかと思ってたけど、もう少し余韻にひたってからにしよう。全員にありがとうのクマのスタンプをおくり、スマホを切ろうとすると、1人のクラスメイトからメッセージが来ていることに気がついた。





「今日は何の日……?」


いつも教室のすみっこでいる大人しい女子からのメッセージ。確か名前は……(ラインの登録名前から)佐々木さん?

ちょっと考えてから、そのメッセージに返信を返した。

「私の誕生日?」

私に答えさせて、「正解!」って感じで祝う……そういうことだよね?話したことないけど、祝ってくれるんだ。嬉しい。

すぐ返事がくる。


「違う。」


……ん?え、ちょっと面倒くさいかも。

もうスマホを切ろうとしたとき、佐々木(?)さんから写真がくる。


一瞬見て、目を見開いた。




「あ、

なんで……◼️◼️の写真が?」






……全部忘れてた。

忘れようとした、

"あの子"の写真が、おくられてきてた。






スマホの着信が、鳴り止まない。




「今日は、あなたと◼️◼️が出会った日。」

「今日は、あなたと◼️◼️が親友になった日。」



「今日は、あなたと◼️◼️が、喧嘩をした日。」

「つきとばして、転んで」




「今日は、あなたが弟を、◼️◼️を、死なせた日」



「……今日は、あなたが秘密を隠した日。」

「わからない?」

「今、着信が鳴り止まないのは、クラスメイトに、今私があなたの秘密を教えてあげたから。」

「もうあなたを祝う声はない。」





「今日は、あの子の、命日。」




スマホをなげる。

「今さら……なんでよ。」

着信が怖い。

佐々木が、怖い。


……クラスメイトに、知られたってこと?


どうしよう、どうしたら……。


スマホを、恐る恐る手にとる。


見ないほうがいいのはわかってる。

でも、あの子に、◼️◼️に呼ばれているような気がして、


佐々木に、電話した。


1コール後、電話に出た。

『……もしもし。』

「あ、あのさぁ……!えっと、ごめん。

弟だったなんて、知らなかったの。謝るから、お願い、友達には、嘘って、言ってくれない?

わざとじゃなかったし、さ。」


やばいやばいやばい。ほんとに、最悪の誕生日。黙らせないと。もし、もっと広まったりなんてしたら、私の人生、詰むんだけど。

そもそも、あれって、事故じゃん。私だけのせいじゃないけど、でも、ここはなんとか謝らないと……。


『安心してよ。大丈夫。私、あなたに、あの子のこと、覚えててほしかっただけだから。』

「え、じゃあ……。」


「……周りにあなたが一生祝われなかったとしても、私が祝ってあげる。


……新しい人生の始まりを。」


佐々木の声が、耳元で聞こえた。




「誕生日、おめでとう。」

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誕生日おめでとう(泣) 近郊 @kinkou

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