ヲタク心10 番外(茜)
どこかにお出かけをしていたのか。とても楽しかったように見える。口笛の音色がとても軽快なリズムだからそう思った。
しかもあの荷物はスーパーではなさそう。どこかショッピングモールで買い物かな?何を買ったんだろう?とても気になった。
映士は一度、謎の大きな黒い袋を持って出会った時があった。あの袋は茜も何度か見覚えのある袋だった。アニヲタランド内で、よくアニメードの帰りに男の人が何か玩具を買った際に手に持っている袋だった。ラジコンかもしくはプラモデルだろうかと最初は思ったが、お父さんの為に購入した物だとあの時は言っていたから、きっと映士の父親はそう言った男の子が好む玩具が好きなのだろうと思った。
親想いの良い人。あの時は素敵な一面を見た。そんな映士は今度は個人的な買い物をしてきたのだろうか?それとも友達とゲームセンターに遊びに行ったのだろうか?あの大きさからしてゲームセンターで何か景品を手に入れたとも思えるなぁ。
一度ゲームセンターでも出会って何かフィギュアの景品を持っていたから、また同じ店で手に入れてきたのかな?
茜もあの後ゲームセンターで目当てのフィギュアを手に入れた。四千円も掛かった事を今思い出した。茜にとっては使いすぎだった。映士の手に持っている袋の中身がゲームセンターで手に入れた景品が入っているとしたら、その大きさからして沢山手に入れたんだろうなと思った。相当手に入れるのが上手い腕っぷしのある人間なんだろうか?
茜はそんな事を考えながら、一先ず映士にバレないように、アパート通路の塀に身を潜める。
階段を登り切った時に脅かしてみようかな?でもその為には階段近くにいるべきかな?いや、一旦ちょっと距離を離して遠くから観察するべきか?もし遠くから見守って何秒でバレるかチャレンジしてみるのもありかもしれないと思った。
すぐ気づくだろうか。ちょっと面白そうになった茜。
もしバレないでスルーされた場合の事も考えて、LINEでメッセージを送れるようにしておこう。茜はLINEでメッセージを打ち込む。
階段の登っていく音が近づいてきた。鉄状のカンカンと鳴り響く階段の音。手に持っていたビニール袋が階段にぶつかる音と、袋のクシャクシャ音が塀に身を潜めている茜の脅かすワクワク感を奮い立たせる。そしてドキドキしてきた。
LINEのメッセージを送る準備も出来ている。さぁいつ頃気づくだろうか!
そして映士の足が見えた。ついに登りきったようだ。そして映士の身体が見えた。ついに映士が自分の部屋に入ろうとドアの前に立つ。
茜に背中を見せてスルーされた為、どうやら茜の姿は見えなかったようだ。軽快な口笛を吹きながらドアノブに鍵を差し込もうと鍵を探している様子である。
LINEのメッセージを送ろう。それで気づいて貰えるかもしれない。
『やっほー。おでかけしてたの?帰っていく所見ちゃった』
茜は送信ボタンを押した。映士は一瞬鍵を回すのを止めてポケットからスマートフォンを取り出した。その際、何か紙切れが地面に落ちたのが見えた。だが映士はそれに気づいていない様子だった。
茜は更にスタンプを何か送ってみようと、ちょっと可愛いキャラクターが恥ずかしそうな両手を顔で隠しているスタンプを送った。
口笛が止まった瞬間、スマートフォンを見つめる彼の身体がピクッと驚いた様子だった。そして通路内に鳴り響く声で『え!?』と叫んだ。
思わず同時に驚いた茜。
そして映士は茜を探しているように階段下等を見たり、一階を見渡すような行動をとっていた。
『マジどこから見てたんだ?』
ぶつぶつと何か言っている。その焦った様子が茜にとって面白かった。だが、全然こちらに気づいてくれなかった。
一階にはいない。2階の通路だ。
身を潜める茜を気付かないまま映士は早速さに部屋に入ろうとしていた。
映士はドアノブに鍵を差し込んで回している。
このままではバレずに終わってしまう。だから茜は直接声を掛ける事にした。
何か焦っている様子だった映士に茜はゆっくり立ち上がって映士の方に歩き出す。
『おかえりなさい』
ようやくこっちに気づいてくれた映士。その様子からしてどこから出てきた!と言っている表情であった。映士からすればいきなり現れてこちらに来るのだからテレポートしたのか!とって思うだろう。
茜は映士の驚いた様子が面白くなり、クスッと笑ってしまう。その様子で茜ちゃん?と返事が返ってきた。
茜はどこか行ってきたのか聞こうとした。
『どーこ行ってたの?友達と遊びに…ん?』
袋に目が行く。ゲームセンターでも行って何をゲットしたんだろうか気になった。だが、袋が何か違う気がする。こんなに色合いの袋だっただろうか?
『それは?』
茜は袋の方を指差した。
するとまた映士は背中に袋を隠して見えないようにした。
この光景は何度もあった。何故か映士は隠したがる。だから益々気になってしまう茜。
そりゃそんな目立つ物を持っていれば誰でも気になるだろう。毎回隠しても更に好奇心を煽るだけだ。
とにかく茜は気になった。ゲームセンターの景品?もしくは個人的な買い物だろうか?
『いや、これはなんでもないよ!本当に!』
と映士は茜に言ってきたが、その袋が映画のロゴマークだと気づき、映画に行ってきたのだと見抜いた。
『映画行ってきたの?』
映士は目線を逸らしながら答えた。
『う、うん!映画行ってきた!それだけ』
『なんの映画?』
『え?あー、えっとね…』
スッと言って来ない。茜は興味が湧いてきた。
映士の好きな映画ってなんだろう?SFかな?それともサスペンス系だろうか?あるいはアニメ映画とか?ミステリアスな所がありすぎる映士の好みは以前から気になってはいた。趣味でも、好きな音楽でも、何がハマっているかも何もかも気になる。
しばらく何か考えている様子だった為、痺れを切らした茜はとにかく聞き出そうとした。
そして映士はようやく答えた。
『……プチモンだよ』
プチモンの映画だという。
映士はあの可愛らしいキャラクター達の映画を観たのか。意外な答えだった。まさかプチモンだったとは。
『え?プチモン?映士君プチモン好きなの?』
『あぁ。プチモン好きだよ?言うても大学の友達に勧められた程度でそんなに知識はないから』
そう答えた映士は、手で後頭部を撫でる仕草をしながら、いつも見るアハハと言ってはにかんでいた。
まぁプチモンの人気は世代関係なく広がっている。子供は男女関係なく好きな子は多い。そして今大人世代でもプチモンゲームをやる人が多い。
でもまさか映士も好きだったなんて驚きだった。じゃあその袋はプチモン映画の商品なのか。それにしては大きいが。
『プチモンの映画…』
思わずそう呟いた茜。
『へぇー。映士君がプチモンとか観るって意外だなぁ。面白かった?』
その問いかけに答える映士。
『あー、楽しかったよ。アハハ。ちょ、ちょっとごめんね。わざわざ来てくれたのに。これから溜まっているレジュメあるからやるんだ。また感想言うよ。本当にごめんね!』
茜をまるで自分の部屋のドアから離すように距離を置かれた。何か様子がおかしい。本当にプチモンの映画なのだろうか?そもそも映画に行ったのだろうか?この袋は映画の袋だが、中身は別のものが入っていたりして。
茜は今までも映士と出会った時に何か隠している様子があり、今も似たような事をされた為、だんだんと怪しさが増していった。
何か変な事しているのではないか?それこそ以前聞いた闇バイトなどしているのではないだろうか?と悪い事ばかり考えてしまった。
『ねぇ映士君。前から気になってだんだけどさ…』
『じゃあ!またね!』
早速さに自分の部屋に入った。そしてドアを思い切り叩くように閉めた。
絶対に怪しい。あんまり関わってはいけない人かもしれない。そんな風に思えた。茜は一階に降りようと階段を見つめる。
『…あ、これって…』
茜は先程映士がポケットから落とした紙切れを手に取ると、それは映画のチケットだった。
映士は映画に行ってたのは本当だったんだ。
だが、茜はそのチケットに書いてある事がプチモンではない事に気づいた。
『ん?……エクストラマンミラクラー…プチモンじゃない?』
茜は映士の落としたチケットをじっと見つめながら嘘をついていた事を知る。日付も今日だった。映士はプチモンではなくエクストラマンの映画を観ていた。そう疑った。
『エクストラマンの映画?じゃあさっきの荷物って…』
映士のドアを見つめる茜。茜は後日、本当の事を聞き出そうと決めた。
特撮ヲタクの俺に何故か好意を抱いてくるヒロインが現れた!? 烏野郎 @riskclow
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。特撮ヲタクの俺に何故か好意を抱いてくるヒロインが現れた!?の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます