第7話First Love

その日の夜。グループホームの自室から、ともちゃんにLINEした。


「あなたが子供をほしがらなかったら、わたしは別れなかったよ」

ともちゃんはこぼす。

「もう、わたしもけっこうなトシだからさ。子供つくるなら若い女と付き合った方がいいでしょ」

ponzi、50歳。ともちゃん、47歳。

「出会うのが遅すぎたかな?あと10年早く出会ってれば」

ponziも答える。

「どうだろう。10年前はわたしも統合失調症が酷くて、ずっと入院生活だったから」

ともちゃんは笑う。


「わたしの初体験は、本当は12歳のとき。お父さんの部下の組員にレイプされたの。いまはもうその人死んじゃったけどさ」

「その組員。お父さんが始末したとか?」

ponziも流れでなんとなく聞く。

「さあ?どうだろう」

ともちゃんはponziの質問をはぐらかした。どこまで本当の話なのやら。

「お父さんは面倒見のいい組長でさ。生活に困った組員に生活保護を支給してもらえるように役所に掛け合ったり。ずいぶん人助けに奔走したのよ」

「うん」

「お父さんは小指もついてるし刺青も入れてない。そういうのは下手打ったさんしたがやることなのよ」

ともちゃんは反社業界を語る。

「うちはもともと青森県南部藩の藩主の家柄だからさ。親せきもみんな医者とかエリートばっかりだし。お父さんだけなぜか中学校卒業してすぐに青森県の実家を飛び出して東京にきたのね。日比谷高校から一橋大学法学部中退までは行ったけどさ。頭は良かったんだと思う。わたしが明治学院大学にしか受からなかったとき、「なんで俺の子なのに」って嘆息してたから(笑)」

ともちゃんの話はいつも面白い。


「わたしの「初恋」はともちゃんかもしれません」

ponziがマジレスすると、ともちゃんは、

「わたしにとっては、たぶん、「最後の恋」だな(笑)」

と笑った。

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フレーバー・オブ・ラブ ponzi @ponzi

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