世界のどこにでも繋がり、どこにも存在しないところ――隠り世にひっそりと佇む、時渡りの宿『よりみち』。そこは、人生の寄り道を愉しむ場所です。
その支配人を務める時任灯弥は、そこへ迷い込んだ客たちを丁重にもてなします。
静かなカフェでピアノクラシックが流れる空間は、彼女たちの心に一時の安らぎを与えます。
当たり前の日常から離れた時、彼女たちは何を思うのか――。
エピソード1「真野 紗弥香」とエピソード3「リウカ=ミャウティア」をこの順で拝読いたしました。そして、他の読者様にもこの順をお勧めいたします。
この作品では、色や光、香り、温度といった情報が繊細に描写されており、一瞬にして物語の世界観に魅せられます。
また詩的なセリフ回しも散見され、独特かつロマン溢れる雰囲気が生み出されているのですが、それが本当に心地よく、癖になります。
特に好きなのはエピソード3「リウカ=ミャウティア」で、その表現技法や言葉選びがとても多彩で綺麗なのは勿論のこと、章のテーマである“変化”についての考え方も非常に面白いです。
私はこの作品を通して、生まれて初めて“文章に感動する”という大変貴重な体験をさせていただきました。
願わくば、ゆくゆくはこのような物語を紡げるようになりたいと憧れてしまいます。
是非、ご一読くださいませ!
世界のどこにもなく、どこにでも繋がる宿『よりみち』。
その支配人である時任灯弥は、今日もお客を出迎える。
偶然にも『よりみち』に立ち寄った客は、過去や現在の自分の姿に気付かされる。
ある者は心が癒される安らぎを、ある者は心が砕ける苦しみを受けるが、それは客の生き方次第。
ときには軽やかにテンポよく、ときには詩的で重厚に紡がれる文章は読みやすく、それでいて不思議な世界観を醸し出す巧みさで脱帽。
お客をもてなす灯弥が用意するカクテルやウィスキーの香りや味わいまで想像してしまう描写も上手い。
少し疲れた読者の方も、ふらっと立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
きっと灯弥が素敵な笑顔で出迎えてくれるでしょう。
その先に待つものが癒しか苦しみかはあなた次第ですが。