VS魔眼の勇者

私が煙に向かって走ると2人の人影がみえた。

「このくらい暴れればアイツも気づくだろう」


「そっすね…なんにも罪のない植物を傷付けるのは気が引けるっすが」


あの2人が森を…!

「これ以上森を傷付けるのはやめて!」


大男のほうがため息をついた。

「俺様はアイツの命さえもらえればなんだっていいんだがなぁ」


「〈炎の魔眼〉」

その瞬間、とてつもない嫌な予感が私を襲った。

咄嗟に回避行動をとるとさっきまで居た場所が燃えていた。


「なんで分かったんだぁ…?魔眼は魔力探知にも引っかからないはずなんだがなぁ」


「それにこっちはヒサメの野郎にネチネチ言われて気分下がってるのによぉ」


この人…強い…!隙がなかった。もう一人の金髪も多分だけど同じくらいの実力がある。


「おいファーリス。あのガキに雷落とせ。」

金髪が戸惑う。


「えぇ…俺は人を傷付けるのだけは嫌っすよぉ」


「速くしろ。燃やされてぇのか」

ビクッと金髪が肩を揺らした。


「悪く思わないでくださいっす、ね!」


はあ、とため息を吐いた金髪が目を見開いた瞬間、雷鎚が私の身体を貫いた。


「ぐっ?!」

駄目だ…意識が遠くなっていく…


「止めを刺すぞ」


「何も殺すことはないじゃないっすか!」


「うっせぇんだよ。ヒサメの野郎にまたグチグチ言われんのはこりごりだからなぁ」


そうしてゴーウェンが振り下ろした拳を、

俺は掌で受け止めた。間に合ったぜ。


ゴーウェンがニッと気味が悪いほどの笑顔を向ける。

「アズエル…てめぇは来ると思ってたぜ」


「わざわざあんなとこから追っかけてきたってわけか?気持ち悪いヤツだぜ。」


俺が煽るが全く気にしてない様子だった。

そこに遅れてベントが走ってくる。


「悪いがベントはそっちの金髪を頼む。

こっちのデカブツは俺がやるからよ。」


「っ…わかった」

対人経験が少ないためか戸惑っていたが、すぐ覚悟を決めたようだ。


「そっち気にしてる場合かよぉ!」

刹那、ゴーウェンが俺に飛び掛ってくる。

それを後方に飛ぶことでかわすが、体勢を立て直す暇なく攻撃がすぐに飛んでくる。


それを後方に飛ぶことで躱すが、

飛んだ先が燃えていた。

ゴーウェンの魔眼の力か…!

気付いた頃にはもう遅く、そのまま着地し業炎に包まれるしか無かった。


クソ、判断ミスだ。

すぐに炎の中から脱出し、地を蹴り得物を引き抜く


「〈聖雷〉」


俺は雷に迫るスピードでゴーウェンに飛びかかった。


ゴーウェンが回避行動をとるがそれを超える速さで肩にナイフを刺した。


痛みでうずくまったゴーウェンを蹴り飛ばし地面に転がす。


「魔眼ばっかり使ってるからこうなるんだぜ?

ゴーウェンくん」


ゆっくりと起き上がったゴーウェンは今までとは比べ物にならないほどの気迫だった。


「こっからはマジで行くぜぇ!アズエルゥ!」



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元"最強"の俺と6人の仲間 ちくわ天 @agu88184

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