魔眼の勇者
僕はベント。昨日まで小さな料理屋でじいちゃんと一緒に楽しく営業してたんだけど…
早速死にそうです…
アズエルはすぐ毒キノコを食べるし…まるで冒険の知識がないみたい。よく生きてこられたな…
「もう食料がないよアズエル…どうしよう」
「ああ…適当に…そこらへんのキノコでも…
食べとグフッ!」
もはや死にそうな顔のアズエルが答える。
そんなことしたら今のアズエルみたいな状態になっちゃうよ
「どうしよう…僧侶様に解毒してもらわないと!」
この世界で解毒をするとなると僧侶様の神の魔法か毒に効く薬を用意しなければならない。
とにかく大きな街に行かなければ。
と、思っていたところに三つ目の獣が現れる。
狼の魔物、ワーウルフだ。
「こんな時に!」
僕は槍を取り出し戦闘態勢に入る。
アズエルは戦えそうにないし守らなきゃ。
その時だった。急にワーウルフは燃え出して…?!
「正義の魔眼戦士、ゴーウェン様登場だ!」
と勝手に自己紹介をはじめる暑苦しいオレンジ色の髪、いかにも筋肉の塊のような大男が立っていた。
「大丈夫か赤いの?」
赤いの、とは僕のことだろうか。
少々不満だが答える。
「はい。助けていただきありがとうございました。」
「まあ俺様は魔眼の勇者だしなぁ当然ってもんよぉ!」
「魔眼の勇者様?」
僕はその言葉に聞き覚えがあった。
まだ幼い頃。父はよく話してくれた。
「300年に一度、魔物を束ねる王、魔王が現れて人々を恐怖に陥れるんだ。」
僕はそれが怖くて、よく泣いていたっけ
それを見ると父は安心させるように話を続けてくれた。
「でも大丈夫!それと同時に7人の魔眼の勇者様が現れて世界を救ってくれるんだ!」
記憶の中の父は優しく温かかった。
「ゴーウェン様、お願いがあるんです。僕の仲間が毒に侵されてしまって、この近くに街はありませんか?」
僕が頼むとゴーウェン様はアズエルのほうをじっと見て、一気に険しい顔つきになった。
「へぇ…久しいなアズエルゥ!なかなか無様な姿じゃぁねぇか!?」
それは、さっきとは打って変わってまるで強大な魔物のようなプレッシャーを放ち、アズエルに近づいていった。
「俺はお前なんざ知らねぇよ…他人の空似じゃねぇのか?」
アズエルは知らない風だったが、それがなぜか僕にはとぼけているように見えた。
「はっ!仮にお前が俺を知らなくても、俺はお前を知ってるぜ」
ゴーウェンは苛立つように言った。その後つぶやくように
「もうここで殺しちまうべきか…?」
と顎に手を当てて悩む様子を見せる。
「いや、やめだぁ。お前は今、力を使えないらしいしなぁ弱いものいじめは俺の趣味じゃねぇぜ」
と言いアズエルから離れていく。
どうやら助かったらしい。
「最後に忠告しとくぜ赤いの。あいつの近くにいるとろくなことにならんぜ。お前は才能があるからな。」
それだけ言うとゴーウェンは歩いて何処かに消えていった。
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