これも、非常に『落語的』な物語に感じました。
主人公は父親の歯医者を継ぐために実家へ。
しかし待っていたのは、父の悲報でした。
この父親、患者優先で金儲けは二の次に考えていた良医だったために、もうけが全くなく、社員への退職金も払えない状態でした。
しかし、主人公は父の記録を見て、あることに気がついたのでございます。
金歯が安価だった頃。
みんなして金歯を入れていた。
ある過疎化した集落の遺骨から金歯を抜き取れば……そこそこの金になるんじゃないか……?
恐ろしいことを考えますねえ。
しかしこの不条理。実に落語的だと私は思うのです。
欲にまみれた人間の業と言いますか、滑稽さと言いますか……。
わずか千文字少しで、一席聞けるような感覚になれます。
ぜひ、ご一読を。