第36話・お茶会01


「お初にお目にかかれて光栄ですわ。


 私がバラン皇国皇妃こうひ、アデレードです。

 どうぞよろしく」


「ここ、こちらこそよろしくお願い

 しますっ!


 先に陛下にはお目通りを許されましたが、

 皇妃様へのあいさつが遅れて申し訳

 ありませんっ」


ワタクシは蛇ににらまれた蛙のように、

目の前の茶色に近い長い金髪をした、

皇妃に頭を下げる。


この人が第一王子にして王太子でもある、

ライアン様のお母さま……


ベルクード・バラン陛下もそうだったけど、

権力者オーラがパネェわ。


「ほら、あなたの義理の娘になるのだから、

 あいさつしなさい」


そう言ってアデレード皇妃が出てくるように

促したのは―――

薄い青色をしたミドルショートの髪の

女性で、


「初めまして。

 アンクと申します。


 アーノルドの母です……」


「えっ!?


 ああ、あの―――

 む、息子さんにはとてもよくして

 頂いておりましてっ」


そして緊張でガチガチになる彼女を、

アデレードは横目で見ながら、


「(……陛下が気に入ったようで、よく

 この王女の話をしていましたが。


 実際にこの目で見ると―――

 年相応どころか、世間知らずの小娘の

 ようにしか見えませんね。


 これが演技だとしたらたいした

 ものですが、さて)」


そして次々と、一通りのあいさつを

済ませた後……

皇妃が目配せをすると、


『わかった』というように、集まった

メンバーの1人が軽くうなずき、


「ところで、メルダ王女様」


「はい、何でしょうか?」


それなりの地位の貴族であろう、やや年上の

女性が彼女に声をかけて、


「聞けば、貴女はレイサイ王国という

 国の王女だとか。


 お恥ずかしながら、ワタシどもは

 国外の事にうといので―――

 そちらのお国のお話しなど、して頂け

 ないでしょうか」


これは、メルダをおとしめる策略であった。


どんな話をしようとも、バラン皇国との

違いで返し……

その圧倒的な差で頭が上がらない

ようにする。


その話を振られたメルダは、う~ん、

と眉間にシワを寄せて、


「でも正直、ご興味のあるような話が

 あるかどうか」


「どのようなものでも構いませんのよ?


 私たち、宮廷にいる事がほとんど

 ですので―――

 外の情報や噂に少々飢えておりますの」


するとメルダは一息ついて、


「(うし。やっぱりこう来ましたか。


 どんなものでも、バラン皇国とは

 規模が違いますからね。

 何を言ってもしょぼいって返されるのは

 目に見えています。


 まずは軽く、あのオッサンの言う通り

 意表を突いてみましょう)」


そしてニコッ、と面々に返すと、


「でもまあ、全部しょぼいんですよね。

 ウチとここを比べると」


「ん?」


「ハ?」


急に何を言い出した?

という雰囲気がその場に広まり、


「だって正直、建物が全然違いますもの。


 レイサイ王国で一番大きい建物でも、

 多分ここの王宮の1/3くらいですよ?


 一番驚いたのが高さですよ高さ!

 あんな高いところで住んだらワタクシ、

 足がすくんでしまいますって!」


ワタクシが演説のようにしゃべり出すと、

みんなはしばらくポカンとしていた。


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