第3話 渓谷
「お頭! あの貴族の坊主を
息せき切って駆け込んできた部下の報告に、
「ぐえっ!」
「馬鹿野郎! 何を言ってやがるのかちっとも分からねえぞ! 何であのカワイイ坊やを
元々このシスタリスの兵士だった大柄な男だ。
男色家であり、部下だった若い男を
「ダ、ダニアの女戦士だ! とんでもねえ弓の使い手で、一撃で仲間たちは殺されちまったんです。赤毛に
ダニアの女戦士。
その言葉に山賊たちは一様に
デクスターは
「その情報……確かなんだろうな?」
「へ、へい。この目で見ましたから」
「相手は何人だ?」
「み、見たところ1人でした」
「全員、
そう言うデクスターに
部下に手を出すこともあって頭目の男色趣味についてはあまりよく思わぬ
☆☆☆☆☆☆
「……面倒だな」
貴族の青年ナサニエルを置き去りにして山を登ってきたネルは、
道は
向こう岸に渡るためにはグルリと遠回りをしなければならなかった。
「まあ、ノンビリ行くか。急ぐ旅でもないし」
そう言って下り坂を進もうとしたネルだが、不意に足を止めた。
視覚、聴覚、嗅覚。
そうした感覚で彼女は
そしてネルは大きな声を張り上げる。
「おい! 用があるならコソコソしてねえで出て来な!」
ネルの声が
彼らは見たところ十数名おり、坂道の上と下からネルを
ネルはすばやく弓に矢を
「やれやれ。さっき殺した奴らの仲間か?
ネルの言葉に一番背丈のある男が一歩前に出た。
「俺だ。
「そうかい。アタシは後悔しないほうに
「ほざけ。部下に手を出されたんじゃ俺も
そう
「やめとけよ。そのケジメのせいで死ぬことになるぜ。そうなっても
そう言うとネルはデクスターと名乗る頭目の男に向かってすばやく矢を放つ。
しかしデクスターはすぐさま両手に持った
デクスターの首を
「チッ!」
ネルは舌打ちを響かせる。
見るとデクスター以外の
弓兵対策だった。
基本的に弓兵は離れた場所からの不意打ち射撃を基本戦法とする。
だがネルは
「へっ。
そう言うとネルは次の矢を弓に
彼女はまるで猫のように素早く身軽だった。
下り坂の下方で
その男だけは
他の
だが、それでもわずかな
ネルはすぐさま矢を放つ。
すばやく飛んだ矢は
「ぐげっ……」
まさかそんな
ネルが首を
そして矢が1本通れる
それを見たネルは
そしてすぐさま弓に矢を
これがほんの一瞬の出来事だ。
それを浴びた
「ゴホッ! ゴホゴホッ! 何だこりゃ!」
ネルが放り投げたのは刺激の強い
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます