世界でいちばん可愛くない卒業アルバム

小学校を卒業してすぐ、卒業アルバムを両親に見せた。ペラペラとページをめくり、個人写真のページを見ながら父は言った。


「〇〇ちゃんに比べて可愛くないね笑」


前後の会話は覚えてないが、私は私がブスだと認識したのはその時だったと今でも鮮明に覚えている。かっこいいと思う俳優はいたし、可愛いと思うアイドルもいた。けれど、私の頭にブスという言葉に該当するひとはとくにいなかった。ブスが突然隕石のように私の脳みそにぶちこまれたのは、父のその一言だった。


それ以来、私は今まで異常に写真が嫌になり(元々大勢から一気に注目されるのがすきではなかった)、中学の頃には卒業アルバムに載りそうな集合写真は隠れられる時は隠れるようになった。卒業アルバムが配られた日、家に帰って私はまっさきに自分の個人ページを開き、コンタクトを外してなるべく見ないようにしながら付箋で自分の顔を隠した。自分の目が悪くて良かったと思ったのはその時だけだった。


そんな日から6年。私日いまだに自分の卒業アルバムの個人ページを見ることはできていないし、きっと死ぬまで見ることはないだろう。


中学の3年間でわたしはある程度マシになったと思う。かわいいと言われる回数が増えたし、連絡先を渡されることもある。けれど、いくら褒められても、私の脳内には「〇〇ちゃんより可愛くないね笑」と言った父のにやけ顔が居る。


私は小学6年生の時、成長期で仲のいい友達4人組の中で一番背が高かった。ある日、地域の人達と遊ぶことになり、靴を脱ぐ機会があった。その時に、名前も知らないおじさんに突然「この中で君が一番靴おっきいね!背もでかいし!」とも言われた。意味がわからなかった。今でも分からない。だからなんだよと今なら言い返せるけれど、その時の私はただただそこにいるのが恥ずかしくなったのを覚えている。


5歳くらいのころにおじさんに誘拐されそうになった。中学1年の時に同級生の男子に「なんか意外と頭皮焼けてるね笑」と言われた。高校1年生の時にバイト先の男の先輩に「体重が重そう」と言われた。去年の冬に男子に「意外とお腹ぷにってるんだね」と言われた。夏、元彼に「俺はかっこよくなるけど○○ちゃんはそのままでいいの?」と言われた。いつだって私を苦しめるのは中途半端な男の言動だ。


上から見られるのが嫌になった。顔を見られるのが嫌になった。体なんて論外だ。指先すら見られたくない。何も見ないでほしい。評価しないでほしい。言わないでほしい。見ないでほしい。


わからせてくれてよかったと思う。

自分のことがブスでは無いと誤解したまま大人になるにはあまりにも残酷すぎる世の中だ。可愛いとも思ったことはないが、どうせなら現実を知って受け入れた方がいいに決まってる。


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