第11話 雨降る夕方前と英語課題
俺と心寧は今、英語の課題をしている。といってもプリントであって、今回は英語の課題だ。俺は黙々と問題を解いており、長文問題にピリオドをつけるだけでもう終わる。
「これ分かんなーい!」
「これ簡単だぞ」
心寧がシャーペンを置いて、両手を上げた後、『教えてほしい』と言わんばかりに、投げやりに言った後、俺を見つめる。というか今日一日中、心寧と過ごしてる気がするんだが...。俺は教えてやろうと、心寧の前にあるプリントを見るが、俺は、そのプリントに書いてある英文を見て眉をひそめる。
「I like Tatsuzi very much...って何これ」
「え?これって好きなもの聞かれてるやつでしょ?」
「全然違う」
この問題は、好きな場所とその理由を聞いている。俺からしたら、中学生の復習。心寧が書いてるのは、『私はとても竜司が好きです』という英文。そう、質問とは無関係すぎる回答なのだ。まず俺のこと好きじゃないだろ...。
「この質問は好きな場所と理由を聞いてるんだぞ」
「あー!そういうことか!」
「だから...My favorite place is...」
「終わったー!」
「良かったな」
心寧は背伸びをする。そして俺は背伸びをする心寧を見た後、プリントと筆記用具を鞄に入れ、帰る準備をする。俺は一つ疑問に思ったことはあったが...また今度で良いだろう。
「んじゃ...帰るわ」
「別に一緒に住んでもいいんだよ?」
「住まない」
「えー」
心寧の突然の誘いに俺は即答する。というか俺が邪魔したら嫌われるし、配信も出来なくなるから。俺は鞄から折り畳み傘を取り、鞄を持って玄関に向かう。
「今日はありがとね!」
後ろからついてきた心寧が、俺をエスコートするように先に玄関を開けて外に出る。そして、俺も続くように外に出る。そのついでに天気を見ると、今さっきまで空一面を覆っていた雲は少なくなり、代わりに太陽が沈みかけていた。
「なんだ...晴れてたのか...」
「ホントだー!」
「じゃあな」
俺は空を見ながら折り畳み傘を鞄に戻す。そして一歩、二歩と歩き始める。俺は歩きながら今日を振り返る。相合傘に、シェアハウスや一緒に課題...といってもほぼ心寧とデートみたいな感じだった気がする。疲れたし、今日は早めに帰って寝よう。
「まぁ...私はたっくんのこと好きだけどね...」
あ、そういえばこの前の配信で雑談をしていた時に、視聴者におすすめの漫画紹介されてた気がする。本屋に行ってから帰ろうっと...。
数分間歩いた俺は、近くにあった本屋に入る。たしか作品名が...『ハーレム主人公は辛すぎる!!』だったっけ...?
「いらっしゃいませー」
えっと漫画のコーナーは...俺はレジを通って、チラッとレジの方を見る。そして足が止まった。
「え?」
「...たっつ?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます