第7話 日曜日とベストフレンド
新しく始まったばかりの高校生活から1週間が過ぎた。そして今日は7月10日の日曜日。日曜日は俺の配信日なのだが...。
「はぁ...」
ため息が漏れる。ベッドから動きたくない。体がだるくて、何もしたくない。久しぶりの学校が疲れた。何も考えられない。
ピンポーン
「はーい...」
インターホンが鳴り、ベッドから起き上がる。今日は両親が仕事で俺一人。俺が出るしかない。重い体を引きずりながら玄関に向かう。
「竜司、久しぶり」
「雪緒...?」
玄関を開けると小さいバッグを持っている雪緒が。雪緒を見て俺は違和感を覚える。白い長袖に黒い長ズボン、普通でラフな格好をしているが、今は7月、暑い夏だ。俺は雪緒に聞く。
「なんで長袖長ズボンを...?」
「ん?いや、寒くてな...」
「寒い?」
俺は雪緒のこめかみから汗が滴るのを見て、寒いわけではないと察する。まず、寒かったら汗が出るはずがない。
「とりあえず入っていいよ」
「お、おう」
違和感は晴れることはなかったが、俺は雪緒を玄関に入れて、リビングに向かう。
「とりあえず座っていいよ」
俺は雪緒にそう言って座る。そして雪緒は口を開く。
「新しい学校はどう?」
突然の質問に俺は少し沈黙してから答える。
「紫陽花学校?俺しか男子いないけど...楽しいよ」
「え?男子1人?」
「うん」
雪緒は目を丸くする。目を丸くすることも仕方がない。俺も男一人のハーレム状況って何なんだよって思う。
「ていうかその高校に小学校の友達が4人いてさ」
「恋愛漫画みたいだな。奇跡じゃん」
「うん...千日高校は?」
「ひどいよ。最近は...」
「...やっぱり雪緒にもなんかあったのか?」
俺が質問すると雪緒は右腕を隠している袖をまくり上げる。俺は、雪緒の右腕を見て絶句する。
「これ...この前されたんだ」
その右腕には無数の絆創膏とあざがあった。おそらく、左腕も両足もそうなんだろう。違和感は晴れたような気がした。でも、俺は何かに押し付けられそうになった。
「もしかして誰かに殴られたのか...?」
「まぁな...」
「だから長袖長ズボンを...」
いじめを...されているのか?もしかして、俺のせいで次は雪緒が標的になったのか...?頭が真っ白になる。やっぱり俺ってダメだ。
「—じ、—つじ、竜司!」
「あぁ...ごめん、少し考え込んでた...」
俺は我に返る。俺が逃げたから雪緒は傷ついていて、それでも雪緒は俺が心配しないように、なんてことがない顔をしていて...ああ、ダメだ、死にたい。
「お前は悪くない。あそこでは何度も起こることだ」
「ごめん...」
気が付くと俺の目尻には涙がたまっていた。何もできない俺が泣く資格なんてないのに。
「お前は悪くないから!」
「わかってる...だけど...」
やっぱり俺ってまだ頑張らないといけない。
「よし!とりあえずゲームしよう!」
雪緒は一回手を叩いた後、ゲーム機をバッグから取り出し起動した。そして俺も数分、虚無を見つめた後、ゲーム機を取って起動した。
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