第7話 親友の告白
「ア、アレット様っ」
先触れもなく突然訪ねた私を見て、驚くテセウ伯爵家の執事。
「先触れもなく、ごめんなさい。セリルはいるかしら?」
「お嬢様は生憎、お出かけになっておりまして…」
「そう、では待たせてもらうわ」
「は、はい、どうぞこちらへ」
執事が困惑している、当たり前よね。
ここには何度も遊びに来た事がある。
けど約束もなく、先触れもせず、このような形で訪ねた事はない。
だが、今の私に周りを気遣う余裕はなかった。
とにかくセリルと話しがしたい、その気持ちが先走っていた。
カチコチ…カチコチ…
応接室で一人待つ間、時計の音だけが部屋の中で反響している。
私は出されたお茶には口もつけず、ずっと考えていた。
シェルダンとセリルが…密会…?
いいえ、二人が私を裏切るはずがない。
きっと何か理由があるはずよ…っ
きっと……!
コンコンコン
「はい」
「失礼いたします。お嬢様がお帰りになりました。もうすぐこちらに……あ、お嬢様っ」
「アレットッ ど、どうしたの? 約束、していなかったよね?」
セリルが軽く息を弾ませながら、応接室に入って来た。
「…突然ごめんね…。あなたにどうしても聞きたい事があって来たの…」
「……しばらく、二人にして」
「かしこまりました」
侍女がセリルの指示に頭を下げると、すぐに部屋を出た。
彼女が私の向かいに座る。
「………っ」
聞きたい事がある…と言ったけれど、いざセリルを前にすると、何も言い出せずにいる。
「…アレット…?」
私が何も言い出さない事を不審に思い、遠慮がちに呼びかけるセリル。
スカートを握り締め、私は意を決してセリルに尋ねた。
「さっき…ロマニエ通りであなたを見たの……あなたと……シェルダンを…っ」
「え……」
セリルが
私からそんな事を聞かれるとは、思ってもみなかったのだろう。
「何だか言い争っているようだったわ…シェルダンはあなたの両肩に手を置いて、それをあなたは振り払って…っ まるで……まるで恋人同士が諍いをしているかのように…っ!」
「な、何を言っているのっ アレット!」
セリルの顔色が変わった。
「私はあなたを疑いたくないっ! けど…さっきのあなたたちの様子は只事とは思えないっ それに…今考えると、父の葬儀の日…母の指輪を届けに屋敷へ行き、戻ってきた時のあなたは少し様子がおかしかった…その後から、あなたと会う事がなくなってしまったわっ シェルダンとも…」
話しながら、涙が流れてきた。
親友のあなたを…婚約者のシェルダンを疑いたくないのに…でも……っ!
「…ご…ごめ…っ ごめんなさい、アレットッ…」
セリルが隣に座り、泣きながら私の手を握る。
そして、胸の内を話してくれた。
「実は…実は私、シェルダンと…っ…」
「——————— え…?」
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