詩の思想

詩の思想


それは愛のリズムでも

こころ温まる詩のリズムでもない


この世間には声がデカい酔っぱらいがいるものだ

やたらと過去を賛美し自身を英雄譚として語る

もう爺の愛や英雄譚はうんざりだから早く寝てくれと思う


誇大妄想の夢は酔っ払いの世界

覚醒剤でも酒でも依存症

自分の言葉に酔いながら自身を正当化する

それが本当に正しいのか顧みずに

あんたらが作ってきた世界は糞だ!

それをいわせないでくれ!


どうせ滅びの世界だと

実朝も太宰も言っているではないか

わざわざ三島になる必要もあるまいに



沈黙しない言葉


知らず知らずのうちに言葉を覚えていた

それはわたしの味方だけではなく敵からも

敵味方判断するのも言葉なんだろう

非難されれば構えるし、賞められれば自惚れる

それが言葉を使う人間

傷ついたり癒やされたり

それでも言葉が好きだ

だからわからない詩を読んだり

わからない詩を書いたりする

どこかでわかりあいたいからだ

言葉を知った以上言葉を使いこなしたい

そして疲れたら水平人間になって

再び垂直に立てるようになるまで沈黙することだ


永遠に沈黙することは そこが

もう言葉もいらない世界なのだ



"時は今"


"Now's The Timeってパーカーでしょ"

"何をいってるの それはわたしの詩よ"

”そうじゃなくて元ネタというか”

”寝たなんて、あんたが口にすべき言葉じゃない”

"いやそういう意味じゃなくて"

”元彼なら覚えてないわよ あなたわたしとメイク・ラブしたいの”

”いや もうそういう時代でもなくて あんたも死んで霊なんだから”

"あの世まで昇天させてあげるわよ でもあんたダサすぎる"


確かに姉さんの詩はカッコイイと思ったがそんなの今頃気がつくなんて

言葉だけが 沈黙の言葉だけが残される 碑文というか


"時は今"と響く言葉……….

それを唄うのはぼくじゃない


"時は今"と響く言霊……….

待っているだけでは時はやってこないのに


"時は今"と繰り返す言霊………



噂のユリシーズ


そんな噂に惑わされるな!

耳を塞ぐよ

でも漏れてくる声は

姉さんの喘ぎ声のように

まとわりつき欲情させる

お望み通りの欲望を叶えますと

奴らはいい、その口で唾を吐きつける

よく姉さんはそんな奴らと口づけが出来るもんだ

それが商売だとしても


聖なる誓いがあったはず

母さんが言っていたのに

それもデタラメだというなら

誰を信じればいいのか

肉親であるのかないのか姉さんが

ただ一人味方だと思っていたのに

姉さんはぼくを無視してダンスに夢中

これがブルースなの

それもブルースなの

いまもブルースなの


ブルースっていう奴は食えない野郎だ

そう言っていた側からビターな媚態

びた一文も払う気なんかないんだ


そういうのはね、身体で払ってもらうのさ

これがそいつの顔なしって奴さ


寒すぎるよ

氷の世界は



シャワーのあとに


血だらけになった姉さんとシャワーを浴びる

スッポンポンの人間同士だから照れは必要ない

泡 バブルにまみれて 汚れを落として 水で流せば

お互いに一心同体という入れ物?

馬鹿だね 入れ物はわたしだけで十分で

お前は  男根いれるもの なんだよ

でも わたしに入れるのは厳禁だから

わたしはお前の巫女なんだから 処女のままなのさ

そう言ってサラダボールで

キャベツを刻んだりして

サラダを用意するのだ


肉は入ってないから と姉さんは言った

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